米国はカタールなど中東の国々から、大量のLNGを輸入するはずだった。もともとはわれわれのターミナルも、LNGの輸入基地になる計画だった。
だが、シェール開発の技術が、ガスの世界のゲームを完全にひっくり返してしまった。米国内から天然ガスが豊富に出るようになり、政府は新たに輸出の方針を打ち出している。われわれもビジネスチャンスが広がるとみて、輸出基地への転換を決断した。
輸出には反対の声も多いが、ガスの生産余剰分を輸出に回すことで価格も安定するため生産者のメリットも大きい。
LNGの輸出に向けて昨年、中部電力と大阪ガスが、われわれから20年間にわたる液化プラントの使用権を獲得した。世界第1位のLNG輸入国である日本の大きなプレーヤーとのつながりは、われわれにとって大きなメリットである。
日本勢にとっては、調達先多様化の一つのモデルケースになるのではないかと考えている。
彼らとの交渉の過程で最も印象的だったのは、自ら調達に動かなければならないという強い危機感だ。競争相手は全世界に8社いたが、米国の安価なガスを調達したいと考えるどの競合他社よりも、とにかく早く動いたことが彼らの勝因だ。
肝心の輸出許可だが、米エネルギー省が決めることなので、こればかりはクリスタルボールでも持っていない限りわからない。大企業の反対も強く時間はかかるが、全く許可が下りないということはないとみている。その場合、われわれは順番待ちの一番上に来ている。
4月9日に新しいエネルギー省長官の指名承認公聴会があるので、そこで何か動きがあることを期待している。しばらくは、辛抱しなければいけないと覚悟している。(談)