立秋を過ぎて暦の上では秋のはずなのに、まだまだ暑い日が続いています。暑い日に、キリッと冷やした日本酒をおちょこでキューッと飲むのはたまりませんよね。先日の佐藤和歌子さんの晩酌歳時記の「焼酎」の回でも、「たとえば日本酒は、秋の新酒、冬の熱燗、夏は冷酒、と色々な季語がある」とありました。そうなんです。たしかに夏の冷酒は風物詩にふさわしい、オツな一杯です。
最近の日本酒業界では、この冷酒にふさわしい、夏に飲んで美味しい、夏専用の限定酒を出していたりします。それが、「夏吟」とか「夏吟醸」とか呼ばれる「夏の吟醸酒」です。今回の本題からはちょっと外れてしまいますが、夏吟を一本紹介しましょう。
「夏の寿 純米吟醸 夏かすみ」(松井酒造店・栃木)です。普段は「松の寿」というブランドを出している松井酒造店の夏限定のお酒です。夏限定なので「松」ではなく「夏」なのですね。
涼しげな青いボトルとセミのイラストが暑い夏を彷彿とさせています。飲み口がさらりとしていて、それでいてお米の旨味も味わえるお酒になります。暑いところで汗をかきながらロックで飲むのもいいのですが、お漬け物と合わせてゆっくりと飲んだりしても美味しいです。やっぱり日本酒は、料理と合わせて飲むのがいいですね。いろいろと相性の良い組み合わせを探してみたくなるお酒です。
さて、それでは本題に入っていきましょう。
今日は、日本酒と料理の相性のお話をしていこうと思います。
日本酒と料理の相性は大きく分けると3種類
日本酒は「食中酒」として飲まれることが多いお酒です。よくよく考えてみると、日本酒はお米でできています。何かをおかずにしてご飯を食べるように、何かをおつまみにしながら日本酒を飲むのは、そう不思議なことではありません。
料理と一緒にお酒を楽しむ場合、重要なのは相性です。料理の味も日本酒の味もとても幅が広いので、相性がいい組み合わせと相性がよくない組み合わせが出てきます。
日本酒と料理との相性が良いパターンは、大きく分けると3種類あります。では順番に見ていきましょう。
1.味の強さのバランスがとれている
簡単に言うと、料理の味の強さと日本酒の味の強さが同じ組み合わせです。味の濃い料理を食べるときには濃醇なお酒を、薄味の料理を食べるときには淡麗なお酒をというわけです。逆に言えば、濃い料理に淡麗なお酒ではお酒の味が打ち消されてしまいがちですし、薄味に濃醇では料理の味がわからなくなってしまうのです。
甘いものには甘いお酒、辛いものには辛いお酒という考え方もありますが、味の強さを間違えると、いいところが打ち消されてしまうので注意が必要です。甘いお菓子を食べた後に甘い果物を食べても、そんなに甘く感じないというようなことが起きてしまう場合もあるということですね。
2.口の中をリフレッシュしてくれる
味の濃い脂っこい料理を食べると、口の中にいつまでもその味が残っているような気持ちになりませんか? そこに、キリッと冷えてスッキリとした日本酒を飲むと、あら不思議。口の中の脂っこさが洗い流され、リフレッシュされます。そしてまた、新たに料理を味わうことができるのです。
こうやって、脂っこいものを洗い流してくれるのも、いい相性と言えます。特に相性がいいのは、脂分を流した後に、後から口の中で日本酒の旨味がふわっと広がる組み合わせです。水で口の中を洗い流すのと違って、お酒の味の余韻が食べ物を味を引き立ててくれます。こうなるともう、飲むのをやめられない止まらないという状態です。
3.両方の味の相乗効果が生まれる
いわゆるワインの世界で言うところの「マリアージュ」がこちら。料理とお酒の幸せな結婚という意味です。料理の味と日本酒の味の調和がとれていて、両方を合わせることで新たな味が生まれるのがこのタイプになります。
たとえば酢の物と甘めの日本酒を一緒に合わせてみましょう。すると、甘酸っぱいという新たな味が生まれます。具体的には酢の物のとがった酸味が和らぎ、生臭みなどが押さえられ、美味しくなるのですね。お互いの嫌な部分が隠れ、いいところが広がるのがこのタイプになるのです。
コンビニのお菓子と日本酒を合わせる?!
では実際に、日本酒と料理を合わせてみたいと思います。今回はおうちで気軽に飲むシチュエーションを想定してみることにしました。