離婚が成立するまで、もしくは離婚が成立した後の「気持ちの切り替え方」は、男性と女性では対称的です。女性の場合、はじめこそ悲観的ですが、あるときから肝が据わるというか、覚悟を決める瞬間があるのです。それに比べ男性は往生際が悪い人が目立ち、離婚後もしばらく立ち直れずに生活習慣が乱れてしまう人も少なくありません。
離婚は幸せになるためにするもの
「相談に来る人は、離婚したい人と修復したい人、どちらが多いのですか?」という質問を受けることがあります。答えは「修復したい人」です。
もちろん、はじめから離婚を前提に考え、「離婚の準備方法」や「有利に離婚する方法」などの戦略を教えてほしいという人もいます。そのようなタイプの人は、すでにそれまでさんざん悩んで結論を出しているため、前へ進むための相談が多く、本人の気持ちも前向きです。
当事者も、まわりの人たちも離婚を悲観的にとらえてしまう人が多いのが現実ですが、そもそも離婚は自分の未来を良くするためにするものです。つまり、離婚は幸せになるためにするのですから、決してネガティブに考えないようにしてほしいと私は思っています。
しかし、「離婚したくないのに離婚を迫られている人」「離婚を迷っているけれど、できればしたくない人」など、いわゆる「修復したい人」に属する人たちは、自分がどうしたらいいのか混乱している人がほとんどです。
カウンセリングでは、相談者の気持ちに寄り添いながら一緒に状況を確認し、問題点を洗い出します。そして、相談者に質問を投げかけながら、「その問題がなぜ起きてしまったのか」という原因を一緒に探ります。
このとき相談者のなかには、いろいろな「気づき」や「反省」を口にする人もいますが、それとは逆に「相手がいかにヒドイ人か」ということだけに集中してしまう人もいます。でも、それはそれでかまわないのです。その人の正直な気持ちなのですから……。
相手のことを悪く言っていても、本心は修復したいので、おのずと「修復するためには、どうしたらいいのか」という話に進むことになります。
目指す夫婦関係、つまり目的を掲げ、その目的に近づくための目標を立てて、実行する内容を明確にすることが、修復の第一段階です。
また夫婦関係修復は相手あってこそ成り立つことなのですが、しかし実のところ、根源は「自分との闘い」であるということを、この時点で理解できる人は多くはありません。
次へのステップの切り替えは妻のほうが得意
泰伸さん(43歳)と妻の友里さん(42歳)は、結婚13年目の共働き夫婦です。そして、12歳と9歳の女の子がいます。夫の浮気が発覚し、一時は離婚する騒ぎにもなりましたが、まだ子どもが小さいこともあり、修復することを決めた夫婦でした。
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