「すぐ動けよ、一番下なんだから」──
「もっと飲めよ。飲めないやつが営業なんてできるか」──
「週末、ゴルフだから、空けておけよ。予定? 知るかそんなもの」──
パワハラ、怖いですよね。
上司や先輩、立場が上の人から言われると、それだけで身がすくむ。怖い。地獄の毎日です。
しかもたちの悪いことに、パワハラなのか、業務の指示なのか、はたまたいじめなのかも区別がつきにくい。だから、言い返すのも至難の業となります。
たいていは、「はい……」と渋々ながら従ってしまうことに。もし仮に言い返せたとしても、「でも……」とか「それって僕の仕事ですか?」とか、精一杯の抵抗を試みるだけになります。
ですがそれだと、相手は「いいからやれよ」と怒り出したり、「うるせえ。もっと飲め」と、むしろ高圧的な態度に拍車がかかったりします。なかには「そんなことでうちの部署にいられると思ってるのか?」と脅迫してくる人も。
なぜ、あなたはうまく抵抗できないのでしょう?
結局、パワハラには泣き寝入りするしかないのでしょうか?
◆日本はパワハラ天国?
パワハラをする人たちは、「上は下に厳しくしていい」と思っています。
会社なんだから、上下関係なんだから、これぐらいは当たり前。これぐらいは普通の指導。仲良しごっこじゃないんだから、優しくばっかりなんてしてられない。しかも、上の立場である自分にはそうする権利がある、義務がある、と信じています。
根っこにあるのは日本独特の上下意識です。
「長幼の序」を説く儒教にしろ、「先輩・後輩」を重んじる体育会文化にしろ、この国ではもともと、タテ社会の意識がとても強い。だから、彼らは、普段のふるまいを「これぐらい当然」と思うわけです。
となると、相手はパワハラをしてくる個人ではなく、「日本の文化」なのですから、こちらとしてはだいぶ分が悪い。
言い返しても「世の中ってのはそういうものだ」と相手にされず、ムダな抵抗に終わってしまうわけです。
これは深刻です。なにか打開策はないものでしょうか?
「会社を辞める」といった飛び道具を使わず、上手に言い返すワザはないのでしょうか?
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