昼から迷わず
うな重を食え
起業後、社長になってからは、酒食にはお金を惜しまなかった。
多少の資産を持つようになっても、貴金属や不動産を買ったりせず、もっぱら美味しいお酒と料理を味わうのに消費した。
海外旅行で、お金を使う大部分は、現地のグルメだ。
土産などは、ほとんど買わない。日本料理から世界各地、数えきれないほど、最高のレストランで食べてきた。
あまり人に自慢するようなものはないのだけれど、美食に関しては、一般的なグルメ通より、だいぶ詳しいと自負している。
僕がそこに浪費をいとわないのは、純粋に美味しいものが好きだから。
もうひとつは、人生を楽しくする投資として、リターンが良いからだ。
食は文化であり、歴史を知ることができる。例えば中国で料理技術が発展したのは、中国皇帝の権勢の顕示欲が背景となっているとか、日本での発酵食品の発達には、湿度の高い国土で保存の利く料理をつくりだす必要があったからなど、料理と歴史は密接に関わっている。
美味しいものを突きつめていけば、歴オタの道にも通じるのだ。
ワインや日本酒など各国のお酒の歴史や蘊蓄も、ずいぶん学べた。これらは後に小説を書くのにも役立っている。
酒食にお金を費やすことで得られる一番のものは、幅広い人間関係だ。
美食の場には、経済的な成功者が集まっている。彼らとの新鮮で刺激的な会話も、ご馳走だ。
またグルメ好きは、分野の垣根を越える。仕事しているだけでは出会えない、各界の著名人やタレント、インフルエンサーと知り合えるのが面白い。
僕は毎晩のように、彼らと酒席を囲み、魅力的な情報を教えてもらい、しばしば熱いディスカッションを交わしている。
新しい発想が生まれ、ビジネスを立ち上げる機会にもなる。TERIYAKIアプリや、WAGYUMAFIAの活動は、酒食にお金を投じた長年の経験の賜物だ。
「起業するためにお金を貯めています!」といって、食事はすべて吉牛かマクドナルドで済ませている若者がいる。吉牛もマクドナルドも別に不味くはないが、あまり推奨できるスタイルではない。
食には、ケチらずお金を注ぎこむべきだ。
投じた以上の機会創出と、知識を満たすリターンが得られる。そして何より、あなたのブランド価値を高める。
安くてそこそこ腹を満たせる、ひとりメシを続けていると、その回数ぶん、ライフステージを上げるチャンスを失っているのだと気づいてほしい。
僕は、ランチではうな重を食え! と言いたい。
それもチェーン店の数百円のうな重ではなく、浅草や日本橋など、老舗店のうな重を食べてほしい。5千円以上するが、その金額ぶんの学習代金だ。
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