情熱×情熱はライバルの垣根を越える!!!

包帯パンツの生みの親・野木志郎が、多くの失敗を経験しながらも、細いつながりを手繰りに手繰り寄せ、世界のセレブを魅了するまでにブランドを育て上げたビジネスのしかけを紹介していく『日本の小さなパンツ屋が世界の一流に愛される理由(ワケ)』。今回は相手がライバルであれ、何であれ、情熱をかけた商品は分厚い壁をもぶち破るというお話。「情熱は人と人をつなげるもんやな~、とつくづく思う今日この頃」by野木志郎

「うちのパンツに喧嘩売るんかぁ?」

前にも紹介しましたが、質問力の高い者同士は、たとえ敵同士でも認め合い、心を通わせ、広い意味での同志になります。 少年マンガによくある、実力を認めあった宿敵(ライバル)こそが最大の友になる—みたいな状態ですね。

以前、グンゼとお仕事をしたことがあります。グンゼと言えば、「Body Wild」などのブランドで誰もが知る男性用下着メーカーの大手。私の会社ログインとは(規模は天地の差があるものの)競合会社になりますが、ひょんなことから「Body Wild」の包帯パンツを企画することになりました。

グンゼの営業部長、イトーヨーカ堂のシニアマネージャー、私の3人がある方の紹 介で会った際、同い年ということがわかり意気投合し、セブン&アイグループであるイトーヨーカ堂と西武百貨店限定で売る商品を開発しようという話になったのです。

話が決まり、グンゼの品質管理を学ぶために京都府宮津市にあるグンゼの工場へ見学に行くことになりました。私はいつもどこかに伺う時は自社の包帯パンツをお土産に持って行くので、その時も何も考えず、包帯パンツをどっさり持って工場に向かったのです。

工場に到着すると、先方の工場長が迎えてくれました。私はいつもの通り、得意げに包帯パンツを差し出すと、工場長が面食らったような顔をしています。

工場長「え? パンツ?」
野木「はい、……あれ、サイズちゃいますか」
工 場長「ちゃうちゃう。あのな、うちパンツ屋やで。俺も長年工場長やってるけど、パンツのお土産もろうたのはじめてやわぁ」
しまった! と思いました。
工場長「あんた根性あるな。うちのパンツに喧嘩売るんかぁ?(笑)」

私は焦り、失礼しましたと平謝り。ただ、もちろん工場長は怒っているわけではな く、なんやこいつと呆れていたのです。
そりゃ、そうです。パンツを作ってる人間に他社製のパンツをお土産で持って行くなんて、キリンビールの工場にアサヒスーパードライを持って行って、「これ美味しいですよ」と言ってるようなものですから。

「お前よう知っとんな」

カウンターパンチを浴びせられた私でしたが(いや、むしろパンチを浴びせられたのは工場長のほう?)、工場見学は実に有意義でした。

野木「この生地の白さ、半端ないですね」
工場長「ようわかるな。この白さは他社では出されへん」
野木「どこで買えるんですか、この生地で作った製品は?」
工場長「これ、高すぎてお蔵入りやねん。うちは高級なパンツよう売らんから」

こんな感じで、目に入るものについてどんどん質問しました。
「これって縮 しゅく 率 りつ どんなもんですか?」
「これ、どこの糸使ってます?」
「これをT400(東レ製の伸縮性のあるポリエステル)に変えたらどうなります?」
すると工場長、「お前よう知っとんな」と感心してくれました。

こちらも零細企業とはいえパンツ屋ですし、包帯パンツの開発で大変な試行錯誤を繰り返したので、生地の開発過程については、かなり突き詰めてやってきました。
自分の仕事をどれだけ突き詰めてきたかは、同じ分野を知る者に隠しようもなくバ レるもの。浅い質問を投げれば、「あんまり知らんな、こいつ」と品定めされてしま います。

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この連載について

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日本の小さなパンツ屋が世界の一流に愛される理由

野木志郎

東京は渋谷で小さな下着メーカーを経営する野木志郎は、「ムレない、ベタつかない、しめつけない」という独特の穿き心地で、世界のセレブを魅了する「包帯パンツ」の生みの親。いまでこそ年間10万枚も売り上げる「包帯パンツ」だが、発売当初は商品力...もっと読む

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