書籍化しました!
“よむ”お酒(イースト・プレス)
本連載『パリッコ、スズキナオののんだ? のんだ!』が本になりました。
その名も『“よむ”お酒』。
好評発売中!
ひとり飲みや、晩酌のお伴にぜひどうぞ
金欠なのに、酒を飲みたいとき
「大人たるもの、年齢×1000円ぐらいは常に持っているべきだ」と聞いたことがある。
現在39歳である私なら3万9千円である。それが常識なのだとすれば、残念だが私は大人失格だ。というか、その10分の1だって財布に常に入っていることはない。だいたいいつも2千円ぐらいの所持金しかない。年齢×千円の計算でいけば2歳児だ。
慢性的な金欠にあえぎつつも、それでも酒が飲みたくなる。特に会社勤めをしていた数年前は遅くまで残業して、ようやく外に出て一杯飲んで帰りたいのに金が無いという状態が辛くて仕方がなかった。財布に千円でも入っていればコンビニで発泡酒や缶チューハイが買える。駅前の広場で飲めばそれはそれで気が晴れるものだ。しかし、発泡酒を買うために必要な金額すら財布に入っていない時がある(書いていて、一体どんな会社員だったんだろうと自分でも不思議になった)。
ほとんど空っぽになった財布の中身を茫然として眺める。中身が無いくせにコンビニだのスーパーだののポイントカードがたくさん入っていて妙に厚みだけはありやがる……と、その時、「ポイントカードにたまったポイントで飲めるのでは!?」、と思い当たった。例えばコンビニ各社のポイントカード。買い物をするたびにたまるのはせいぜい1ポイントだか2ポイントだか微々たるものだが、気づけばそれが発泡酒を買えるぐらいにはたまっていたりするものである。普段、コンビニで酒を買ってためたポイントがいざという時に酒を買うために使われる、なんと無駄のないサイクルだろうか。
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