愛 42歳
(アカウント:ねね@童貞ハントFカップ
「アラフォーのドMです。都内在住。童貞さん、学生さんウェルカム。DM、リプ、気まぐれだけどちゃんと返します」)
堕落というのは癖になるのだろう。
私は仕事で表彰されるよりも、お給料が振り込まれた通帳を見るよりも、自分が自堕落に振舞う時に一番強く、生きていることを噛みしめる。
楽しさや高揚は一瞬しか続かない。その後に淡々と続く寂しく物足りない日常をどう埋めるのかが人生をどう過ごすかということなのではないだろうか。むしろ変に人生に光がさすと、その光がやがて陰って闇に落ちる怖さに耐えきれなくなる。だったら最初から闇を自分の住みかとして、闇と仲良くするのが賢明なのではないか。
会社にいる昼間の自分はコスプレでしかないと思うと、仕事の苦しみは難なく乗り越えられた。クライアントに理不尽な要求をされても、自分のものではないミスに頭を下げることになっても、心を無にしていれば痛くならない。この自分は本当の自分ではないと思い込めばいいだけだ。
昼に私以上の私を完璧に演じるために、夜は、知らない男と心を交わさないセックスして、安いだけの食べ物を胃がぱんぱんになるまで体の中につめて、吐いてとことん無駄にする。身体と心とお金の無駄遣い。もう40代の若くもない女がみじめで、みっともなくて、だからこそ安心する。私の人生はこれくらいがちょうどいい。
幸せというのは強迫観念だ。一度得ると失うのが怖くなる。幸せになりすぎると、きっとそれだけ大きな不幸がやってくるに違いない。だから私は大きく不幸にならないために、自分で自分の幸せを毎日ちょっとずつ傷つけるのだ。