あいつオレの処女を奪う気だったんだよ!
──デザイナー時代もやっぱり恋をすることはなかったんですか?
山口 忙しかったからな。でも、何度か「童貞卒業しちゃうかも?」みたいなタイミングはあったな。
──え!
山口 一時期すっげー仲が良かったSMの女王様がいたのよ。その人はテレビとかにも出てたりして、見た目はすっげー綺麗な人でさ。タトゥーは入れまくってるし、豊胸手術もしてて、身体作り込んでる人なのよ。外国の大物アーティストともなにか関係があったりする、かなりのツワモノだったな。
──ツワモノVSツワモノですね。どういう経緯で知り合ったんですか?
山口 なんかのバンドのライブを観に行った時に、知り合いが連れてきてて挨拶したんだよ。だけど、オレと住む世界が遠く離れた人だから仲良くなるとは思えないじゃない。そしたらある日突然電話がかかってきてさ。「もしもし? 遊ばない?」って、もうビックリしちゃったよ〜。イイ大人になってから女の人とふたりで飯食いに行ったりとかなかったからさ。でも、意外と話が合ったんだよな。オレ、こう見えてクレイジーな人が好きだからさ。
──どこからどう見ても、クレイジーな人が好きなクレイジーな人ですよ。
山口 あの女王様はすごかったな〜。オレに全裸の写真くれたりするし、狂ってて面白かったのよ(笑)。見た目もただならぬ感じが出てるから、どこ行ってもVIP扱いで、近所の町のフランス料理屋みたいなところに連れて行ったら、普段出てこないデザートがふたつも出てきたりしたな。あと、一緒に寿司屋に行ったら、その女王様の見た目があまりにもエロすぎて、寿司屋の兄ちゃんが見とれちゃって寿司握れなかったりしたこともあったよ(笑)。 まぁそんな人と友だちとして定期的に会ってたんだけど、とある喫茶店で茶飲んでたら、外の風俗店のネオンが目についたのよ。で、オレが「そろそろ風俗にでも行くかな……」って話をしたら、「風俗なんかダメだよ〜! でも、そろそろ実践したほうがいいんじゃない?」とか言うから、「あれ? ヤらせてくれんのか?」って思ってたのよ。オレ的にも気心は知れてるし、美人だし、いいかな〜って。そしたら「じゃあ次会った時にでも実践いくか〜。次来る時はペニバンとローション持ってくるわ!」って、あいつオレの処女を奪う気だったんだよ!
──女王様も童貞だけは守ってあげようと気を使ってくれたんじゃないですか?
山口 でも、結局何もなかったのよ。ただ、それ以降その女王様はオレに予防線張ってるところがあってさ。ある日「アソコにピアスつけた」って言うんだよ。そんなこと言われたって、オレ童貞なんだから見当つかねーじゃん。
──裏ビデオで観てても、実際に目の前でご対面したわけじゃないんですもんね。
山口 そうよ。で、「ここに〜」とかって絵に描いて説明してくれたんだけど、オレもだんだん興奮してきてさ。「ちょっと見せてくれねーかな?」ってお願いしたのよ。
──ははははは! お願いするのもすごいですよ。
山口 でも、「今日はダメだけど、今度ね」って言われてさ。そんで次会った時、オレも当然のように「じゃ、見せてよ」って言うじゃん。そしたら「今日は生理だからダメ」って。それから必ず会うたびに開口一番「今日生理なんだよ〜」って言うんだよ!
──やんわりだけど、断固とした反対姿勢を感じますよね(笑)。
山口 そうなんだよ(笑)。でさ、女王様でいちばんビックリしたのが、バレンタインデーに「話したいことがある」って電話してきたんだよ。もうオレは「あれ? 告白されんのか?」ってドキドキしちゃってさ〜。でも、オレがその時ちょうどスッゲー忙しかったんで、「今日はちょっとな」って言ったら「いや! 今日じゃなきゃダメだ!」って言うんだよ。これついにきたか……? と思ってしょうがなく会ったら、新しく勤めたSMクラブの愚痴なんだよ! ドキドキして損しちゃったよ!
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