狼男を責めても仕方ありません!
どうか怒らないでほしいのですが、これから私は、みなさんが金融機関にとってのカモである、という話をしたいと思います。第一回のテーマは、月の光に照らされるとオオカミに変わるからといって、狼男を責めても仕方がない、というお話です。
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株式や投資信託などの金融商品が食品(イチゴ)や家電製品(テレビ)といちばんちがうのは、“かたちがない”ということです。
イチゴなら、八百屋の店頭で大きさや色つや、産地などを見ればだいたいの良し悪しは判断できます。おいしいかどうかも、食べてみれば誰でもわかります。家電量販店に行けばたくさんの液晶テレビが並んでいて、価格や大きさ、映り具合を比較できます。専門雑誌の評価や、インターネットの評判を調べたり、店員にアドバイスを求めたりするひともいるでしょう。「テレビを買って後悔した」というひとがあまりいないのは、事前にちゃんと調べればそのとおりの商品が手に入って、納得感があるからです。
それに対して、かたちのない金融商品では、こうした「買い物の常識」がまったく通用しません。だれもが戸惑うのは、金融商品は「損する」ことがある、ということでしょう。そもそも買い物というのは得をすると思うからこそ成り立つわけで、「損をしたのに文句を言えない」というのはとてつもなく理不尽な体験です。
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