料理はできると思っている人が勝ち
有賀 新井さんはいつ頃から料理を始めたんですか?
新井 一人暮らしを始めてからなので、2年くらいですね。有賀さんのスープをよく作っています。最初に作ってみたのは、豆乳のやつでした。
有賀 「鹹豆漿(シェントウジャン)」ですね。
新井 豆乳がそんなにフルフルの食感になるのか!と思って、やってみました。有賀さんのレシピを作るようになって、野菜の切り方なんかも覚えていきましたし、「食べたい」という目的が最初にあって、なんとなく吸収していった感じです。
有賀 私のスープはやっぱりシンプルなので、「ちょっと物足りない」という人もいるんじゃないかと思っているんです。
新井 私はぴったり。
有賀 新井さんとわたしの味の好みが似ているんでしょうね。あと、女性は薄味好きの人が多いみたい。
新井 有賀さんのレシピは、おいしいし作りやすいから、リピート率が高くて。
有賀 うれしいなあ。SNSで写真をアップしてくれている方たちは、何回も作ってくれていたりアレンジしてくれたりしてるみたいです。
新井 わたしもアレンジします。
有賀 アレンジといえば、先日公開したレシピ「完熟トマトうどん」を作ってくれる方が、みんなそうめんを使ってて、トマトうどんって言ってるのに、そうめん率がめちゃくちゃ高い!(笑)
新井 トマトうどんおいしかったです!
有賀 ちょうど夏で家にそうめんって余りますから、みんな適当に組み合わせて作ってくれているんだなと。でも、それでいいやって思う。だって、家にそうめんがいっぱいあったら、レシピがうどんでも、そうめんをなんとかしたいって思うのが普通ですもん。
新井 うんうん。
有賀 食材を使い切れた喜びみたいなものも伝わってくるんです。やっぱり作る人の気持ちってすごくおもしろくて、基本的に「やらされる」ことは嫌なんですよね。あれもこれも用意してください、みたいな。
新井 もう一個買わなきゃいけないの?みたいな。
有賀 なのに、自分で「あ、あれも入れよう」って思うときは脳がウキウキしていて、全然苦じゃないし、むしろやってやったぞ、みたいな感じになる。そういう風に気持ちが高揚してくると料理ってすごい楽しくなってくると思います。
新井 そうかも。もう一回作ろうって思いますもん。
まさかにんじんをこんなに買うようになるとは思わなかった
新井 実は私、にんじんがあんまり好きじゃなかったんだけど、「にんじんのしりしりスープ」でにんじんのおいしさに目覚めました。
有賀 実は私も、にんじんが苦手だったの(笑)。今は好きなんですけど、あのしりしりを何年か前に人に教わって衝撃を受けたんです。にんじんって付け合せとか、煮物とかで食べることが多いけど、そういうのってどうしても、おまけというか、邪魔者感があって。
新井 わかる~。
有賀 でも、おいしいキャロットラペとか、単体で食べるとすごくおいしい。
新井 まさか自分でにんじんをこんなに買うようになるとは思わなかったです。いまは、八百屋さんで野菜を見かけて、「そういえば有賀さんのレシピの中にあったな」って思って買って作ってみたり。まずは一番おいしそうな野菜を買って、そのあとでどうするか考えています。
有賀 八百屋に行っておいしそうな野菜を選ぶっていうことが、できない人もいます。でも、野菜の鮮度は、週2回ぐらいスーパーに行って、よく野菜を見ていれば2、3ヶ月でわかってくる。今はスマホでその野菜の検索をすれば料理の作り方はわかるから、使いみちを考えるハードルは以前に比べて下がりましたよね。