公認不倫であることが、不倫相手を怒らせることもあるなんて

複数の人と同時にそれぞれが合意の上で性愛関係を築くライフスタイル「ポリアモリー」。ポリアモリー当事者のきのコさんが、「公認不倫」を選択した夫婦のマンガ『1122』から、結婚と恋愛とセックスレスについて考えていきます。


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こんにちは、きのコです。

今回は、前回に引き続きセックスレスをテーマに、マンガ『1122(いいふうふ)』について考察したいと思います。

公認不倫をしている結婚7年目の夫婦

結婚7年目で子供なし、仲良しだけどセックスレスの一子と二也は、二也が婚外恋愛をするのを一子が認めている「公認不倫」の夫婦です。と、こう書くと簡単なようですが、物語は一子と二也とまわりの人々のあいだに巻き起こるモヤモヤとした迷いや不安を、つぶさに描いています。

たとえば二也から、恋人・美月とのデートのために結婚記念の旅行の日をずらしたいと言われて、一子が怒るシーン。

一子は一見、言いたいことをちゃんと言えてるようだけど、「二也と合意がとれていて何も問題ナシ!!」というようにはとても見えません。自分でも「でもわたしは、矛先のおさめ方がへたくそだ」と言っているように、感情的になるとつい刺々しい言葉で矢継ぎ早に問い詰めてしまい、二也は何も言わずに引いてしまいます。

「合意」って本当に難しい。双方のコミュニケーションのレベルが合ってないと、合意のようでいて実は「声の大きいほうが勝ち」みたいな状態になりかねないのでは、と思います。声が大きくて、早口で、弁が立つ方が「相手を黙り込ませてしまう」というのは、合意とはいいづらい。自分の言いたいことを伝えることも大切ですが、相手の言いたいことをきちんと引き出すコミュニケーションも重要ではないでしょうか。

それから、この不倫が一子の「公認」であることを二也から打ち明けられて、美月が怒るシーン。美月は、「わたしは、あなたたち夫婦のバランスをとるための緩衝材? わたしは、わたしたちのことを、二人の秘密だと思って大事にしてきたの。手の平の上で転がされるなんて冗談じゃない。馬鹿にしないで」とデートの途中で帰ってしまいます。

私としては、公認不倫であるということが不倫相手を怒らせることもあるなんて、目から鱗でした。もし私が美月だったら、「奥さんの合意を得て私と付き合ってくれてるなんて誠実! 私って、大切にされてるのね」と喜んでしまいそうな気もします。

「禁断の秘密だからこそ不倫は燃え上がる」なんていう意見はよく耳にしますが、「オープンに恋愛したい」から「二人だけの秘密にしておきたい」まで、不倫の渦中にいる人にもいろいろな価値観があるのだな、と思いました。

恋愛の延長線上に結婚を置くのはトリッキーなことでは?

とどのつまり、結婚と恋愛とセックスとは別物なのだと、改めて感じます。

そもそも、恋愛やセックス(性欲)は短期的に大きな波をもつ感情だし、結婚は法的に人間関係を“固定”する制度。「感情」と「制度」という土俵の違うものを一緒くたにして恋愛の延長線上に結婚を置くって、かなりトリッキーなことではないでしょうか。

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わたし、恋人が2人います。

きのコ

「ポリアモリー」という言葉をご存じでしょうか? ポリアモリー(複数愛)とは、複数の人と同時に、それぞれが合意の上で性愛関係を築くライフスタイルのことをいいます。浮気でも不倫でも二股でもない「誠実で正直な複数恋愛」とはどのようなものなの...もっと読む

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