これからは、「孤独産業」が拡大する
熊野 かつては、市場ニーズと社会ニーズが一緒だったんですよね。企業が大きくなれば、その分社会が豊かになった。だからこそ、大企業が社会から尊敬された。でも、もう市場ニーズと社会ニーズは分かれてしまい、企業は市場ニーズばかり追いかけている。法人税を払うから、社会課題はそれを使って、国やNGOが解決すればいいということで、社会からどんどん離れてしまった。すると、どんなに大きな会社になっても尊敬されにくい。そうしているうちに、日本は環境問題、少子高齢化、高い自殺率、うつの増加など、課題が満載の国になってしまった。日本は課題の先進国になっているんです。
藤野 そうですね。
熊野 縮小していく市場では、量的拡大ではなく、質的拡大を目指すべきです。この国が、衣食住が足りているのにもかかわらず不幸なのは、やはり皆が孤独だからだと思うんですよ。この孤独という病をなおせるのは、関係性しかない。その関係性を、商品で提供できないかと考えているんです。この商品を買うと、森が豊かになり、障害者の人の雇用も生まれることに貢献できる。そんな「社会的報酬」が組み込まれた商品をたくさん生み出す。それは、社会起業家と言われている人をもっと輩出することにもつながります。