3月11日
ふさこ、不正出血。
その夜、ふさこはあしたが休みの解放感から、お気に入りの「さんまのお笑い向上委員会」を見ながらサワーを一缶飲んだ。
途端に顔や腹、太ももまで、全身がありえないほど真っ赤になってしまった。お酒に強い人だったはずが「心臓が苦しい」と、胸を押さえて、うずくまり出した。こうなるともうテレビどころではない。背中や足を摩るが効果なし。
「救急車を呼ぼう。恥ずかしいならタクろう」
「そこまでじゃないから」
麦茶と冷ました白湯を飲ませて、おしっこでアルコールを体外に排出させる。一時間以上経過して、ようやく体の赤みが徐々に消えていった。あーこちらも生きた心地がしなかった。
「たった一本しか飲んでないのに、どうしてこんなことになったんだろう」
「かずふみを産んでから、すっかり体質が変わっちゃった」
普段は妻のエキセントリックな言動に振り回されて、「死んでくれ」と願ったことは100回や200回ではないが、やっぱり生きてくれ。経済的な理由はもちろん、ふたりで育てたほうがいい。
はあー、それにしても肝を冷やした。
3月14日
バレンタインデーにホットチョコレートをもらったので、お返しに10万円近いCélineの財布を買わされた。何かが狂ってる。
3月15日
ヤラせないことを責める。
「たけちゃんのは大きくて疲れるんだよ」
「俺の巨根が目当てで結婚したくせに!」
「あんまり責めないで。こんなに性欲が無くなったのは生きてて初めてで落ち込んでいるんだから」
『お天気お姉さん』の仲代桂子さんは不感症になった期間は真人間だったんだけどなあ。
「アナルでいいよ、アナルで。ふさの処女アナルで」
「だからこんなの入らないって」
「無制限、膣内射精し放題じゃなかったのか。じゃあ口と手で処理してよ。毒抜き(©浅草キッド)して」
「絶対やらない」
「プライド高いなあ!」
以後、怒鳴りあい。
かずふみよ、パパだってこんなことを書きたくはないんだよ。パパは本当は檀一雄や島尾敏雄みたいな無頼派な作家になるつもりだったんだ。それをどこでどう間違えたのか、恐ろしい女に捕まったんだ。
3月16日
深夜、風呂に上がってから急いで手を入れ直した原稿を出版社に送り、あの仕事もしたいあれもこれもとテンパり、かずふみは家中走り回るほど元気で、替えたオムツに触るのでつい怒鳴ってしまった。
居間で疲れ果てて眠っていたはずの妻は目を覚まし、怒り狂い、家から出て行ってしまった。
あーあ、どうして俺は今日だって洗濯洗い物買い出し風呂掃除夕飯作りと、マジメにこつこつやっていても、しくじってしまうのだろうか。
一時間後妻帰宅。勢いで事務所で仕事をしてきたそうだ。
3月17日
京都に来た漫画家の倉田真由美さんと韓国料理店へ。(2月22日の日記参照。)
「俊太郎は笑い方も汗のかき方も変わった。いまや土日は娘と過ごすことを生き甲斐とする良きパパだよ」
「ほんまかいな。編集者時代に叶井俊太郎の担当だったけど、とにかくヤリまくっていたよ」
その後、「◯◯はああ見えてヤッてないよ。××のほうがヤリマンだよ」など、とてもここでは書けない貴重なお話を拝聴する。
叶井さん、お互いあたまが良い妻を持つと苦労をするね。
3月18日
元フジテレビアナウンサーで現在はホリプロ所属のフリーアナウンサー松尾翠さん(夫が福永祐一騎士)の朗読会が子供未来館であるため、ふさがかずふみを連れて行った。
その間、せっせと自分の仕事を。すっかり早寝早起きの生活習慣になったため、起きてる時間を無駄にできない。
3月25日
松江さん家族が京都に来る。ライトアップされた夜の清水寺を拝観しに行く。
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