オフィスハック

どんなに無駄で、理不尽で、報われなくとも

【人事部が、悪い社員をブッ殺す!?】絶賛発売中のスパイアクション小説『オフィスハック』より第1話「ONDO社の社内調整」リバイバル連載!◆2018年東京、丸の内。合併をくり返し肥大化した大企業T社では、不正を働く社員が次々誕生していた。人事部特殊部隊「四七ソ」の香田と奥野に、今日も新たな指令がくだる。オフィス内のクソ野郎どもを、スタイリッシュかつアッパーに撃ち殺せ!


◆#25◆


 おれは絶句した。 先物はドル円など足元にも及ばぬ魔界だ。おれが憧れていた株デイトレードのさらにその先にある、ビットコインにも等しい、いや、それよりもワケのわからない魔界だ。おれにはどうやって原油の先物取引を行うのかすら想像もつかない。

 その境地に奥野さんはいたのだ。あの温和そうで、物静かで、謙虚な奥野さんが。

 奥野さんは罪を告白するように続けた。

「自分、調子に乗りまして、リーマンショックで、焦げ付かせました。それで、妻に愛想を尽かされまして。まあ、今でも相変わらず株なんかやっているんで、多少の勘は働きます。こんなの、なんの自慢にもなりませんが。お恥ずかしい」

「そう……だったんですか……」

「いいですか、香田さん。アメリカとか、ドルとか、マクロ経済も大事かもしれない。この国が10年後どうなって、その時家族がどうなってるかも大事でしょう。でも今は、任された仕事、しましょうよ。勤務時間中は、仕事、しましょう。どんなに無駄ばっかりで、理不尽ばっかりで、報われなくても、仕事は仕事ですよ」

 奥野さんはおれの肩を叩き、勇気付けてくれた。おれの意識が高まっていく。

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オフィスハック

本兌 有,杉 ライカ,オノ・ナツメ
幻冬舎
2018-04-19

この連載について

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ダイハードテイルズ

これぞ日本版キングスマン/会社あるあるが笑える/スカッとする!/早く映像化して! などTwitterで話題のスパイアクション小説『オフィスハック』(著:本兌有・杉ライカ、画:オノ・ナツメ)をリバイバル連載!(あらすじ)「ウチの不祥事が...もっと読む

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