妖怪処刑人 小泉ハーン

死んだはずの娘が、見世物小屋に

一八九九年夏。京都にある下劣な見世物小屋「サウスイースト・ビリーヴ・オア・ノット」。最新のショウは、本物の死体と見紛うばかりのゾンビ少女の見世物。小屋の前を通りかかった旅行服姿の女、文子は、デッドガールの容姿や傷跡が死別した娘に酷似していることに気づく。文子は京都に滞在中の妖怪ハンター、小泉八雲を頼るのだった。
◆伝奇アクションホラー小説『妖怪処刑人 小泉ハーン』より「デッドガール」編第1回!◆

 自由交易都市「京都」。強化アーク灯の光届かぬ南禅寺の近くに、サウスイースト・ビリーヴ・オア・ノットと呼ばれる三階建ての大きな見世物小屋がある。

 かつては拷問蝋人形や剥製人魚といったシケた偽物が展示の目玉であったが、五ヶ月ほど前から催され始めたとある奇怪な出し物が、京都市民や旅行者の耳目を集めていた。

「さあさ、紳士淑女の皆さん、お立会い! いよいよアメイジング・デッドガールの登場でありまァす! ただし、心臓の弱い淑女の方はご注意を! ショックのあまり心臓停止してお亡くなりになっても、お金は一切支払いませェん!」

 薄暗がりの中、道化師じみた化粧の男がハンドベルを鳴らし、がなり立てた。その腹周りは太く、派手なジャケットのボタンも全く留まらない。口元には隠しきれない笑みが張り付いている。この興行でさぞ儲けているのだろうと観客たちは容易に推測できた。

「現れよ! アメイジング・デッドガール!」

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妖怪処刑人 小泉ハーン (単行本)

本兌 有,杉 ライカ,トレヴォー・S・マイルズ,久 正人
筑摩書房
2018-02-20

この連載について

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妖怪処刑人 小泉ハーン

ダイハードテイルズ

時は19世紀末。葵の御紋は未だ死せず。江戸城には無慈悲なる大老井伊直弼。永世中立交易都市たる京都神戸を境に、西部では薩長同盟が勢力を維持。一方、強化アーク灯の光届かぬ荒野には未だ魑魅魍魎が跋扈し、開拓地の人々を脅かし続ける。かくの如き...もっと読む

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02020615 #スマートニュース 2年以上前 replyretweetfavorite