妖怪処刑人 小泉ハーン

首無し死体を投げ捨てた気分はどうだい?

一九世紀中頃のダブリン。聖カスバーツ校に通うラフカディオ・ハーン、後の小泉八雲は、同時代にダブリンに生きたもう一人の狩人、ブラム・ストーカーと出会い、妖怪狩りの道へと進んでゆく……。
◆伝奇アクションホラー小説『妖怪処刑人 小泉ハーン』より「少年時代」編第4回!


「Arrrgh......バ、バカな……何故ただの銃弾で、この私が……!」

 ブギーマンは必死に呻いた。

「ただの銃弾じゃないからさ。ヤドリギの精油による二重のコーティングを施してある。もう助からんぞ」

 コートの若者が銃口を突きつけながら告げた。

「きッ、貴様……ブラム・ストーカーだな……! レ・ファニュの門弟! 呪われろ! 永遠に呪われろ!」

「静粛に! 静粛になさいーッ!」

 遠い場所から修道女の怒鳴り声が聞こえた。別の病室で、無関係の発作が起こり始めた。誰もトーマスのところに来る気配は無かった。

 ハーンはブラムのほうを一瞥して肩をすくめた。

「お前がやれよ。お前の獲物だ」

 ブラムはそう言うと銃をブギーマンに突きつけ、うつ伏せに倒れたその背をブーツで踏みつけた。

「……」

 ハーンは無言で頷き、ブギーマンの横に立った。そして語りかけた。

「僕のことを覚えているか……? ハーンだ。ラフカディオ・ハーン。お前らに大切な友達と、この左目を奪われた」

 ハーン少年は防火斧の鈍い刃をブギーマンの首に押し当てた。腹の底から煮えたぎるような憎悪がせり上がってきた。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

すぐに続きを読みたい方はこの本をどうぞ!

妖怪処刑人 小泉ハーン (単行本)

本兌 有,杉 ライカ,トレヴォー・S・マイルズ,久 正人
筑摩書房
2018-02-20

この連載について

初回を読む
妖怪処刑人 小泉ハーン

ダイハードテイルズ

時は19世紀末。葵の御紋は未だ死せず。江戸城には無慈悲なる大老井伊直弼。永世中立交易都市たる京都神戸を境に、西部では薩長同盟が勢力を維持。一方、強化アーク灯の光届かぬ荒野には未だ魑魅魍魎が跋扈し、開拓地の人々を脅かし続ける。かくの如き...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

Tweetがありません