目に見えないカビの恐怖
前回ご紹介したホコリの中だけでなく、風呂場の壁や天井に付着し、一度発生すると、掃除しても掃除しても次々と生えてくるカビ。特に梅雨どきなどに、いつも悩まされている方も多いのではないでしょうか。
目に見えるカビはすぐにでも除去しなければなりませんが、実は、目には見えないカビについても注意を払う必要があります。
なぜならば、カビが原因で死に至ることがあり、私たちがいま吸っている空気の中にも、その原因となるカビが浮遊している可能性があるからです。
カビは室内で発生する菌の一種と思われがちですが、本来は屋外に生息している生き物です。土の中に多数生息しているカビの胞子は、風に乗って室内へと入り込みます。室内で細かい土砂やホコリが舞い上がれば、カビの胞子も一緒に舞い上がり、私たちの鼻や口を通って、気管支やその奥の肺へと侵入していきます。
「夏型過敏性肺炎」という病気がありますが、これは「トリコスポロン」というカビの胞子を吸い込むことで、アレルギー反応を起こし、発熱や呼吸困難などの症状が出るものです。重症化すれば最悪の場合は死に至る、恐ろしい病です。
内科医の倉原優氏が著した『もっとねころんで読める呼吸のすべて:ナース・研修医のためのやさしい呼吸器診療とケア2』(メディカ出版)では、倉原氏が研修医の頃、アレルギー性肺炎の一つである、亜急性過敏性肺炎の患者さんを受けもったときのエピソードが紹介されています。
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