お金の価値を決めるのは、信用と汎用だという方程式について述べました。ではお金はこれからどうなっていくのでしょうか?
今、お金に変化をもたらす大きな流れが起こっています。それを後ろから突き動かしているのが国家、技術、社会、経済の四つの動きです。この四つの観点から変化をみるフレームワークはPEST(P:Politics 国家、E:Economics 経済、S:Social Value 社会、T:Technology 技術)と言われよく使われます。
まずは一つずつみていきましょう。
国家から個人へ——個人がお金を発行する時代へ
まずはお金の変化とともに起こった、国家の変化を見ていきましょう。
お金の信用母体の変化とともに、世界の構造も変化してきました。
これは、世界は今どんな風に分かれてきているのかということを表した図です。
国家の上に、企業つまりグローバルカンパニーがあり、そしてさらにその上にネットワークがあります。国家の中にこのようなネットワークがあるのではなく、国と同レベルにグローバルカンパニーがあり、同レベルで個人間のネットワークがあるのです。今はこの三層の戦いになっています。国家と企業の力は同程度になっている
これは世界のGDPと企業の収益(Revenue)順位トップ一100を示したものです。
2017年の資料ですが、アメリカや中国などが上位に並んでいる一方で24位にウォールマート、47位にトヨタなど、国家よりも経済的に大きな企業ができ始めています。ということは国家だけでなく企業や個人というものも、大きくなっていっていると言えるのではないでしょうか。歌手のテイラー・スイフトは何十億人というフォロワーを持っています。そういう人たちが貨幣を発行できないのかというとそうではありません。日本でもVALUというサービスが少し前に流行りました。個人が株式会社のようにVAとよばれる擬似株式を発行することができ、売りに出されたVAは自由に売買することができるというサービスです。このように、個人が通貨を発行するのはもはや当然の動きとなりました。
そして、その裏で起こっていることは何かというと、お金の信用母体の変化なのです。