信用の「箱」を持て
さて、実際に現実の世界を見渡すとサラリーマン社長はどんなに大企業でも大金持ちにはなれません。不思議だと思いませんか? その理由はどんなに社長として大きな価値を創り出してもその信用の「箱」を持っていないからです。起業家がお金を持っているのは、最初に箱を作った人だからです。「起業するならIPO(新規株式上場)を目指せ」と言われますが、IPOは会社の株が広く譲渡されるような場に「箱」を持っていることです。譲渡売買が行われるマーケットがある。だからIPOするわけです。
起業家は、まず会社という箱を作り、その箱の中に価値を創り、それらを結びつけて事業を形作っていく。その会社(箱)の株の価値が上がっていくにつれてお金という財と化すというわけです。ただ価値を創るのではなく、株という形で譲渡可能にしておくからこそ、彼らはお金持ちになるわけです。
繰り返します。お金は譲渡可能な信用です。譲渡可能な形にするためには、仕組みから考えないといけないのです。ここにポイントがあります。お金持ちになるかどうかは、価値を創ったかどうかということではありません。どんなに価値があったとしても役に立たないのは、譲渡可能なシステム、箱を持っていないからです。
この仕組みがわかると、世界のお金のうちほとんどが起業家・創業者からうまれる、という理由がわかります。
まとめると20世紀まではお金持ちになるには三つのステップが必要でした。
1.まず譲渡可能な「箱」を作り、2.その中に「価値」を積み上げてゆく、3.最後にその「箱」を譲渡する、ということでした。この隠された仕組みに気がついていることが大切でした。
しかし、この仕組みは、きっと21世紀には通用しないでしょう。なぜならお金そのものがまったく別のものに変わってゆくからです。そこにブロックチェーンテクノロジーの時代、つまり「記帳時代」のからくりがあるのです。それはお金を使わず、直接、価値の交換をしてすべてを記帳してゆく時代です。その話は後半でします。
ここで第1回〜第4回の要点をまとめます。