夜の校舎、窓ガラスを壊して回ったのはもう遠い昔。自由を夢見て卒業を繰り返してみたけれど、結局は会社組織の歯車となり、しがらみは増える一方だ。40歳を目前に相も変わらず「早く自由になりたい」と願うことは、おじさんのワガママがすぎるだろうか。
サウナだって、時に不自由だ。サウナで寝転んだりしない。水風呂に入る前に汗を流し、頭まで潜らない。そこは公共の場、最低限のマナーがある。でもふと思う。周りに気を使わず自分勝手にサウナを楽しんでみたい、と。
仕事を放り投げ、ネットの荒波を漂っていると、一軒の施設に辿り着いた。「IZBA(イズバ)」。福岡の貸し切りサウナである。
すべてが自由自在のプライベートサウナ
正確には、貸し切り“バーニャ”だ。「サウナ」は発祥国であるフィンランドの言葉。「バーニャ」は、フィンランドと並ぶサウナ大国であるロシアの“蒸しサウナ”を指す。フィンランドや日本の主流が高温の乾式サウナであるのに対し、バーニャは室温60℃程度ながら湿度80~100%の低温湿式スタイル。体感温度が非常に高く、“世界一熱いサウナ”とも言われている。
マキナ・アルビナさんが「ロシアの文化を広めたい」と建てたログハウス「IZBA」。本館ではロシアの家庭料理が食べられ、隣接小屋ではバーニャを独占できる。
「IZBA」オーナーのマキナ・アルビナさん。家具職人の叔父と一緒に本館で暮らす
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