松井博と申します。以前、米国のアップル本社で管理職をしていました。アスキー新書から「企業が「帝国化」する アップル、マクドナルド、エクソン~新しい統治者たちの素顔」と「僕がアップルで学んだこと 環境を整えれば人が変わる、組織が変わる」という2冊の本を出版し、好評を頂いています。
私はこの連載を通じて、私たちの社会や暮らしの「近未来の在り方」を占ってみたいと考えています。現在私たちは18世紀から19世紀に起こった産業革命に匹敵するIT革命のまっただなかにいます。かつて蒸気機関の発明から始まった工業化が生活の在り方や政治形態までもを一変させてしまったように、IT革命もまたすべてを変えてしまうのです。IT革命が私たちを連れて行く近未来の世界を、労働環境、教育、政治制度などのさまざまな切り口から書いていきたいと考えています。そして最初のテーマは就労形態の変化です。
「ノマド」という就労形態
Photo by Noell Hyman 最近、「ノマド」という就労形態が話題になっています。ノマドというのは本来「遊牧民」という意味で、転じて場所に縛られない働き方をする人々を「ノマド」と呼ぶようになりました。「ノマドワーク」と言うと、フリーランスのプログラマーやジャーナリストがスタバでノートパソコンを広げて仕事をする、そんなイメージで語られることが多いようです。そしてこれに反発する声も大きく、「ノマド礼賛は一昔前のフリーター礼賛や派遣労働礼賛と同じだ!」であるとか「スタバでノートパソコンで仕事なんて、情報漏洩に対するセキュリティはどうするんだ?」などなど批判の嵐です。それらの批判にはもっとなものも少なくありません。
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。