エイプが売れているから
前回、インチキイラストレーターとなり、荒稼ぎ(月9枚描いて36000円)をした話を書いたが、その流れでイラストの話を続けよう。元々私が博報堂を辞めた理由は、忙し過ぎたことと、出世できないことが27歳にして分かってしまったことだと述べた。そして、1300万円の金融資産があったこともそれを後押ししたとも説明した。実はもう一つ強力な後押し理由があったのだ。
それは、「Tシャツ長者」になる夢があったためである。2000年頃は「裏原宿」(裏原)とやらが流行っており、原宿のおしゃれファッションブランドがバカ売れしている時代だった。その中の象徴的存在がNIGOさんのブランド「Bathing Ape」だった。若くして億万長者になったNIGOさんを雑誌記事などで見て、「よし、オレもTシャツ長者になる!」と考えたのだ。これは会社を辞めることを決めた11月よりも前の話である。
夏にTシャツ屋と打ち合わせをし、2種類のデザインのTシャツを発注した。そのうちの一つが以下の画像のTシャツである。カエルを描いたものの、これではカエルに見えないため、「ケロケロケケケケ」と鳴き声を入れ、それでもカエルに見えないなぁ、と思ったためダメ押し的に「カエル」と説明書きを入れた。さらに、スケベ心を出し、外国人にも売ろうと考えて「Tokyo」と書き、あたかも東京土産のようにしたのである。
会社員でいながら、不労所得を得ようとたくらんだのだ。そして、販売に使おうとしたのは、インターネットである。kerojapan.comというドメインを取得し、そこでECをしようと考えたのだ。