高い国際性を持つ英国式の基礎教養と、経済と法学についての体系的知識。学歴と教育を重視するエリート至上主義。日本の軍政統治にすら適応して知識を学び取る合理的精神と、「力の統治」への揺るぎなき信頼。そして、非常時には闇市で財を成すことも辞さない狡猾さ——。
独立当初は国家の存続すら危ぶまれた小国シンガポールを、アジアでトップの先進国に押し上げたリーの個性の多くは、青年時代に形成されたものだった。
リーは英国留学時代の盟友である呉慶瑞(ゴー・ケンスイ)ら、英語教育を受けたエリート集団を幕僚とした統治機構を作り上げ、「株式会社シンガポール」と称されるほどのシステマティックな国家体制を確立した。
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