左から、柴那典、スージー鈴木、大谷ノブ彦
桑田佳祐の「現役感」
大谷ノブ彦(以下、大谷) 桑田さんって、めちゃめちゃ現役感ありますよね。特に新作アルバムの『がらくた』聴いてそう思った。
柴 那典(以下、柴) キャッチコピーが「ソロ30年目の衝動」ですからね。
大谷 前作『MUSICMAN』のときは「ああ、桑田さん、ここまできたんだ」という気持ちになったんですけど、『がらくた』を聴いたら「あれ? まだまだいけるじゃん」って。
スージー鈴木(以下、スージー) 私としては、誤解を恐れずに言えば、印象の強さは今作の『がらくた』より前作の『MUSICMAN』のほうが強かったです。『MUSICMAN』は「それ行けベイビー!!」と「月光の聖者達」という爆発的なクオリティの2曲があったんで。でも平均点としては『がらくた』のほうが高い。
柴 『MUSICMAN』というアルバム自体、ある意味集大成のような感じがありますね。これで終わってもいいくらいの思いを込めて作った。
スージー ちょうど大病も患ったときですからね。
大谷 そこを経て、この現役感を出せるのが才能だな、と。
柴 やっぱり、誰より新しい音楽にアンテナを張ってるのが大きいんですよ。
大谷 これだけのキャリアがあるのに、新しいものにチャレンジすることが怖くないのかなあ?
柴 雑誌のインタビューで言っていたんですけど、あえて自分をアウェイな場所に置くようにしているんですって。ロックフェスに出るのも、そういう感覚を求めに行ってるところがある、と。
大谷 フェスに出るのも早かったですよね。
柴 そうそう。2002年のロック・イン・フェスティバルが初出演だったんですけど、当時は桑田さんみたいな大ベテランが夏フェスに出るということ自体が事件だった。
大谷 出た! そのときの「マンピーのG★SPOT」がすごかったんでしょ?
柴 あれは大事件でしたよ。だって、その曲を歌ってる桑田さんが頭にハゲヅラをかぶってて、そのヅラにチンポがついてるんですよ? しかもそのチンポの真ん中に「渋谷陽一」って書いたシールが貼ってある。
大谷 その振り幅!(笑)
柴 僕、その時はスタッフだったんでレポートを書いてたんですけど「これ、どこまで書いていいのかな……」って(笑)。
スージー あはははは! 最高だなあ。
大谷 そうそう、前回にも言った「がらくたの夜会」って桑田さん特集の番組でR-指定さんが言ってましたよね。桑田佳祐さんの歌い方がラッパー的だって。
柴 『がらくた』の「愛のささくれ~Nobody loves me」の歌い出しが、裏拍から入る絶妙なフロウになってるって言ってましたね。
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。