「温かいもの」を利用して相手の心を開かせる
「温度」と心理状態も深い関係があります。人間は自分が温かいものをもっているときに相手を見ると、目の前の相手を親切で親しみやすく感じることがわかっています。
ローレンス・ウィリアムと、ジョン・バージによる非常に面白い実験があります。複数の被験者にホットコーヒーまたはアイスコーヒーをもったままエレベーターに乗ってもらい、エレベーターから下りてから、ある物語を読ませるのです。そして物語の登場人物を評価してもらう。すると、ホットコーヒーをもってエレベーターに乗った被験者は、登場人物を「温かみがある」と評価し、アイスコーヒーをもっていた人は「冷たい人間だ」と判断する傾向があった。身体的な温かさや冷たさを認知すると、相手にも同じものを感じるのです。(身体化された認知)
コンピュータを使い、4人の被験者に「パス回し」をしてもらう実験があるのですが、プログラムを操作して、あえて「パスが回ってこない状況(仲間はずれ)」を作ると、その人は体温が下がり、疎外感を覚えるようになります。しかし温かい飲み物をもったままで同じことをするとその疎外感やイライラが軽減されます。
さらに「投資家と受託者のゲーム」もあります。これは複数の被験者を「投資家グループ」と「受託者グループ」に分けます。投資家は受託者にお金を預け、儲かったら投資家に儲けの何割かが戻ってくるというゲームです。投資家が受託者を信用、信頼していると多くのお金を預ける、不信感を感じると少ししか預けなくなります。
投資家をさらに2つに分け、一方は41 ℃のパックをもたせ、一方には凍ったパックをもたせたままこのゲームを行うと、41℃のパックをもった投資家は、「きっとお金を増やして、自分に多く利益をもたらしてくれる」と感じ、投資額が大きくなります。温かいものをもっているだけで相手への信用、信頼が高まったと考えられる。ということで、肌寒い時期からのデートでぜひ応用して欲しいのがこの3つです。