41歳のロックスターが突然の自殺
柴那典(以下、柴) 今回は重い話ですが、このことについてどうしても語りたいと思うんです。7月20日、リンキン・パークのチェスター・べニントンが自宅で首を吊った状態で死亡しているのが発見されました。
大谷ノブ彦(以下、大谷) 突然でしたね。
柴 正直、最初は「なんで?」と思ったんです。すでに成功も果たしているし、新作は冒険作で賛否両論だったけれど、そんなことは別に自殺する理由にならないだろうし。
大谷 そういうタイプのミュージシャンとも思ってなかった。
柴 そうそう。ただ、僕はcakesの渡辺由佳里さんの記事「ロックスターの自殺が浮き彫りにする性暴力被害者の苦悩」を読んで初めて知ったんですが、チェスター・ベニントンは幼いころに性暴力の被害を受けていた。そのサバイバーだった、と。
大谷 僕もこれ、読みました。衝撃だったな……。
柴 これを読んで、結構、心に突き刺さるものがあって。というのも、でチェスターは76年生まれで41歳なんですよ。これまでの歴史において、シド・ヴィシャスやカート・コバーンやのように20代で死を迎えてしまうロックスターは多かったわけですよね。
若くして巨大な名声を急に得て、その混乱の中で亡くなってしまうような。でも、チェスターについては、そういう話とは少し違う。
大谷 つらすぎるなあ。だって外側から観ていたら、バンドの成功で過去を克服したんだ、ハッピーエンドだったんだろうって勝手に解釈しちゃうもん。
でも、個人の深い悲しみって、本人にしかわからないところがあって。簡単に傷は消えないし、突然フラッシュバックするようなこともあるのかもしれない。
柴 チェスターの死を受けて、各地でファンに寄る追悼集会が開かれていたんです。それに参加した人がインスタに投稿した動画を観ても、みんな歌ってるんですよ。
cinescreamproductions|instagram
大谷 大合唱ですね。
柴 これを見ても心にくるものがあって。「ああ、こんな風にリンキン・パークって愛されてたんだ」って改めて思ったんですよ。