公私ともに、会話のうまい人をたくさん見てきた。
会話はコミュニケーションの基礎であり、また終着点でもある。上手であることに越したことはない。 では、どうすれば「会話がうまい」と言われる人になり得るのだろうか。
一説によれば「聞き上手となるべき」と言う人がいる。ウンウンと相手の話をよく聞き、 相手に気持ちよくしゃべってもらうことに注力せよ、と言う。
しかし最近、それはどうも違うと感じることもある。聞き上手であることは特定のシーン においては重要なのだが、必ずしもそうではない。
たとえば、私は普段「聞き上手」の人をあまり求めていない。何か観察されているのでは、と勘ぐってしまうからなのだが、むしろ相手の話を聞かない人のほうがコミュニケーションをとりやすく、会話も続く。
また、世の中に散らばる「会話のノウハウ」は、いかにもマニュアル的で個別のシーンを 扱っていて使い勝手が悪い。だから、最近まで私は「会話に王道なし」と割り切っていた。
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ところが最近、ある方とミーティングするにあたって1つ気づいたことがあった。 私が「話し上手」だと思っていた方が、ほかの人と話すと「聞き上手」だったのだ。つまり、彼は使い分けていた。
それを彼に尋ねると、「会話には、いくつかのパターンがあり、使い分けは当然」と言った。さらにこうも。