投資信託にはどんな「夢」があるの?

ひふみ投信のファンドマネージャー藤野英人さんによる株式投資入門。最終回となる今回は、不誠実な会社を見分けるために大切なことや、投資信託の可能性についてのお話です。「28歳の姪ユリコ」と「投資ファンドの運用担当をしている叔父」の物語形式でお楽しみください。

ファンドマネージャーの叔父の話を聞いて、株式投資を始めたユリコ。自分で決めた銘柄としばらくつきあってみて、だんだん「投資」についての知識と経験も蓄積してきました。もっともっと投資のことが知りたいと思ってきたユリコは、あらためて叔父さんの「ファンドマネージャーとしての哲学」が気になってきて……。

不誠実な会社を見分けるために大切なこと

ユリコ 叔父さん、こんばんは。

叔父 おや、ユリコちゃん。相変わらず楽しく株式投資をしているようだね。

ユリコ はい。叔父さんのおかげで、毎日の生活での興味関心も増えて、投資以外でも楽しく過ごしてます。それで近くを通りがてら、またお邪魔しちゃいました。叔父さんにいろいろ教えてもらって本当によかったと、あらためてお礼を言いたくて。

叔父 なんと、わざわざありがとう。ぼくとしては、「お金」や「投資」について前向きに興味を持ってくれる人が増えることがうれしいから、ユリコちゃんが楽しく投資をしているというだけで十分なんだけどね。

ユリコ 株を始めてからいろいろな企業のニュースにも関心が高まったんですが、東芝【銘柄コード:6502】のニュースなど、大企業の不正の話を見ていると、とてもかなしくなりますね。先日も、富士フイルム【銘柄コード:4901】の決算延期のニュースが流れていました。

叔父 海外子会社でのリース取引での不適切会計があって、200億円以上の損失が計上されていなかったというものだね。

ユリコ 写真フィルムの技術から派生してスキンケア商品を開発して話題になっていたので、コスメ関連の銘柄としてちょっと気にしていたのですが……。

叔父 富士フイルムがそうなると予想していたわけじゃないけど、「やはり」とは思ったな。ぼくは、この種のニュースはまだ続くと思っている。

ユリコ 自分が株を持っているときに、その会社が上場廃止になってしまうとどうなるんですか?

叔父 上場廃止とひとくちに言っても他の企業による買収とか、親会社への吸収合併などの場合もあるので、いろいろなケースがあるんだよね。ただ、その会社が経営不振で上場基準を満たさなくなったり、倒産したりというような場合、その株式はほとんど無価値になってしまうことが多い。

ユリコ それを聞くと投資が怖くなっちゃいますね……。

叔父 まあ、これは投資だけの話ではないんだけど、100パーセント安全ということはないね。だからこそ、自分に理解できる企業に、手に汗をかかない金額で、分散投資しようという話をしてきたわけだよ。

ユリコ 「小さくゆっくり長く」投資しようというのを叔父さんに何度も教えていただきましたね。1銘柄あたりにかけるお金を少なくして銘柄を分散することで、リスクも分散し、時間を味方につけるように。

叔父 うんうん。今のユリコちゃんはうまくやれてるみたいだね。

ユリコ そういえば最初に話を聞いたとき、叔父さんのようなお金のプロが運用する「投資信託」を活用すると、自分だけではわからなかった幅広い銘柄に分散投資ができるという話を聞きましたよね。個別株の投資を一通りやって学んだ今だからこそ、投資信託にも興味がわいてきました!

叔父 うん、個別株もやりながら、それとは別に投資信託にもチャレンジしてみるのはいいことだと思うよ。投資信託を保有すると、どんな資産をどれくらい買っているか書かれた運用報告書が届くんだ。そういうのを見て、「お金のプロ」が経済動向をどう捉えているかなど、実践的な投資術を学ぶことができる。個別株の投資に対する勉強にもなると思うよ。

ユリコ そうかあ、叔父さんのようなプロのファンドマネージャーの人たちはいろいろな人からお金を預かって大きなお金を動かすわけですよね。私には手の届かない、高い金額の銘柄にもたくさん投資できていいですね。

叔父 まあ、ぼくたちのようなファンドマネージャーが運用している、市場平均より上回る成績を目指すタイプの「アクティブ型」と呼ばれる株式投資信託にとっては、運用額が多ければ多いほど成績が良くなるというわけではないんだけどね。

ユリコ 運用額が大きくなると、やることが変わってくるんですか? 資金力があるほうが分散投資ができるから、どんどんやりやすくなるのかなと思ったんですけど。

叔父 そういう効率の良さはたしかにある。でも、なるべく分散して、たくさんの銘柄を買えば買うほど、市場の平均に近づいていくからね。大量の資金を持った上で、そこにはまりこまずに平均よりもいい成績を出し続けるというのは大変なんだよ。だから、僕たちも運用額が増えていったら今までよりは大変になっていくかもしれない、とも思っていた。それが業界では常識とされていたしね。 でも最近、そこを乗り越えるヒントが、やっと見つかったんだよね。

ユリコ お。一体どういうアイデアですか?

叔父 「どうすればいいか」ということよりも、考えるべきは「どうありたいか」だってことに気づいて。

ユリコ つまり……?

叔父 預けていただいているお金をどうやって使うかの細かいテクニックを考えるよりも、自分たちがどういう存在でありたいのかっていうことを突き詰めるほうが大切なんだって気づいたんだよ。そうしたら、めちゃくちゃワクワクしてきたね。きっかけが、さっき話の出た東芝なんだよ。

日本国民みんなのお金で、夢を持って「信じて託す」

ユリコ どういうことですか?

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes・note会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

この連載について

初回を読む
誰でもできる株式投資入門

藤野英人

ひふみ投信のファンドマネージャー藤野英人さんによる、株式投資の入門連載です。投資には興味があるけど、どうやってはじめたらいいかわからない、というひとに向けての内容です。投資ファンドの運用担当をしている「叔父」が、姪の「ユリコ」に、投資...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

Tweetがありません