我が妻は、「松尾さんと結婚してからラーメンを食べる量が10倍になり、酒を飲む日は30倍になった」と言う。
「ラーメンは、松尾さんと付き合う前は、年に3杯くらいしか食べなかったけど、付き合い始めて月に1杯、結婚してからは、インスタントラーメンも含めて月に10杯くらい食べてる。お酒は、月に1回くらい付き合いで飲む程度だったけど、松尾さんの晩酌に付き合うようになったら毎日になったから単純計算で30倍」
そうかあ…。と、僕は頭を抱えてしまう。
普通の人は、年に3杯しかラーメンを食べないのか。楽しい食べ物なのになあ。そしてまた、晩御飯のときにお酒を飲まないんだ、ふううん、僕は、酒を飲まないとどうにも一日が終わった気がしないのだ。なので、人間ドックの前の日は、酒を飲めないというだけで非常にナーバスになる。医者に週に2回は休肝日を作った方がいいと思いますよ、と言われるが、これだけ酒を飲んでも肝臓の数値は異常なし、尿酸値だっていたって正常なんだから、だったらそんな堅いこと言わなくてもいいじゃないのという気になる。
しかし、さすがにそう呑気でいられないなと思うのは、最近あきらかに太ってきたぞという、見た目の変化だ。このあいだNHKの『みをつくし料理帖』という時代劇で久々にちょん髷をつけたのだが、江戸時代の町人の役なので、髯を剃ると、喉の辺りがやけにブヨブヨしているのに気づいた。今まで髯でごまけていた部分が露わになり、やけになまっちろいタヌキ面に見え、自分に腹が立った。