三田佳子「バナナ食べて、それで儲かるなら、私が食べても……」
先週、所用で母校の中学校へ行ったのだが、校舎に足を踏み入れた途端、様々な記憶が蘇ってくる。文化祭で細々とコントをやったのだが、そのネタの一つが、二人一組になり様々なシチュエーションで「お父さん、娘さんをください!」と叫ぶものだった。いくつかシチュエーションを重ねた後、組体操の「サボテン」でそう叫んだ時に、その日一番の爆笑を浴びたのだった。今から振り返ると、組体操をしながらの「娘さんをください!」が面白いと思えないのだが、あの時浴びた爆笑の感覚が蘇った。
YouTuber全般を卑下するのは簡単で、ただシンプルに、彼らの動画が少しも面白くないと告げること。しかし、それが、再生数や収入といった結果を出している彼らへの妬みに変換されるとこちらの精神衛生が乱れに乱れるので、それなりの人の見解にすがると、『ダウンタウンDX』でHIKAKINと共演した三田佳子が、皮ごとバナナを食べる動画が大反響だったと知らされた後に「バナナ食べて、それで儲かるなら、私が食べても……」とつぶやいた姿が、ひとまず彼らに対する思いのおおよそを代弁してくださっている。
提供しているのは「ほっとする時間」
HIKAKINは、自分の顧客(=ボリューム層、と彼は言う)は小中高生だと断言する。動画を毎日19時にアップするのは、「彼らが一番見やすい時間で、しかも習慣化しやすい時間帯を想定」(HIKAKIN『僕の仕事はYouTube』)しているから。自分のチャンネルに登録してくれる理由を、「ひとりで暇なときに、ネット上の友達のHIKAKINと、新発売のお菓子なんかをネタに、くだらないギャグを交えた雑談でちょっと盛り上がる、ほっとする時間」(前出書)を楽しく感じているからではないかと分析する。
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