渋谷音楽図鑑

出口の見えなかった『ヘッド博士の世界塔』

『渋谷音楽図鑑』(太田出版)の第5章、フリッパーズ・ギターのストーリー。「GROOVE TUBE」のレコーディングから始まったフリッパーズの変化。そしてサード・アルバム『ヘッド博士の世界塔』のレコーディングに没頭する小山田圭吾と小沢健二。しかし、それは「終わりの始まり」だった――。

出口の見えなかった『ヘッド博士の世界塔』

『カメラ・トーク』以降、フリッパーズ・ギターの音楽性が変わり始めた最初のタイミングが、彼らが「GROOVE TUBE」という曲を作っていたときでした。

 レコーディングが行われたのが90年の年末から91年の1月にかけてのこと。そこで彼らはサンプリングに取り組み始めます。サンプラーを使ってループを作り始めた。当時のイギリスではストーン・ローゼズなどマンチェスターにいるバンドたちが新しい試みを始めていて、その潮流をいち早く取り入れようとしていた。

 どの時代も、洋楽の影響下にあるアーティストはムーブメントと同時進行の音楽に挑戦する。新しい動きをいち早く理解して、本質的なところで共鳴したものを作ろうとする。だから彼らもサンプリングを駆使したレコーディングに入っていったわけです。

「GROOVE TUBE」(1991年)の非売品CDジャケット用ステッカー

 91年の春頃からサード・アルバムの『ヘッド博士の世界塔』のレコーディングが本格的にスタートしました。

 ただ、僕にはこれまでとはどこかムードが違っているように思えた。

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渋谷系へと続く、いまも終わらない「夏休み」の記録

渋谷音楽図鑑

牧村 憲一,藤井 丈司,柴 那典
太田出版
2017-07-05

この連載について

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渋谷音楽図鑑

牧村憲一 /藤井丈司 /柴那典

シュガー・ベイブ、山下達郎、大貫妙子、竹内まりや、加藤和彦などの制作・宣伝を担当、80年代後半からはフリッパーズ・ギターをプロデュース。解散後は「トラットリア」を設立――。そんな音楽プロデューサー牧村憲一さんが「渋谷」で出会った音楽、...もっと読む

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pixiewired 今回短え : 約3年前 replyretweetfavorite

shiba710 “どの時代も、洋楽の影響下にあるアーティストはムーブメントと同時進行の音楽に挑戦する。新しい動きをいち早く理解して、本質的なところで共鳴したものを作ろうとする” 約3年前 replyretweetfavorite