「今後10年で最もセクシーな仕事は統計家だ」──。
グーグルのハル・ヴァリアン・チーフエコノミストが2009年に語ったこのせりふは、「ビッグデータ」という“流行語”と常にセットで語られるものだ。
ここでいう統計家とは「データサイエンティスト」とも呼ばれる職種。大量のデータを分析し、そこから有益な結果を導き出すことで、ビジネス上の価値創出のシナリオまで描けるような、データ活用の専門家である。数理統計などを用いた分析スキルとコンピュータプログラミングのスキルを持つ一方、経営やマーケティングなどに関するビジネススキルも兼ね備えた人物像を指す。
ただ、そんな“スーパースター”はなかなかいるものではない。11年5月に米マッキンゼーが公表したレポートによると、米国では18年までに、高度なデータ分析のスキルを持つ人材が14万~19万人不足すると算出している。
日本における人手不足感はその比ではない。というのも、データサイエンスの基礎となる統計学を修める人材が、日本は圧倒的に少ないのだ。