希望・選抜された生徒が研修でハーバード大学へ。
探究心こそが子どもを伸ばす
近年、日比谷生に大きな刺激を与えている2つの取り組みをご紹介しましょう。
「SSH(スーパー・サイエンス・ハイスクール)」と「東京グローバル10」についてです。
大ざっぱな言い方をしてしまうと、前者は科学者、後者はリーダーを育てるためのプロジェクトです。
「SSH」は、文部科学省が学校を指定します。テーマは「国際舞台でリーダーシップを発揮して活躍できる科学者の育成」です。申請をするときに「こういう内容でやります」という案を提出し、認められると予算などのサポートを受けられるという仕組みです。
日比谷高校における「SSH」の具体的な取り組みとしては、まず1年生には全員に課題研究をやってもらいます。自然科学に関する内容を個人またはグループで設定。研究結果を年度末にレポートで発表するという形です。研究する主題については、学校からは指定しません。自分たちで見つけてもらいます。
シダ植物の研究をする子もいれば、コケの研究をする子、トンボの目が見える秘密を調べる子もいます。海の波を利用して、発電する仕組みを考え出そうとする子もいました。
仮説→実験→結果という、科学的手法・思考を身につけることを目的としています。
日比谷高校が「SSH」の指定を受けたのは2007年からなのですが、この1年生の課題研究に関しては、2016年から学校の単位の一つとして、きちんと位置づけることにしました。
というのも、私は「伸びる子ども」にとって〝探究心〟こそ極めて大切なものだと考えているからです。授業が学力を、部活が生徒の人間形成を担うとしたら、このような取り組みで探究心をつけてあげたいと考えています。
というのも、授業の中で、今それを求めるのは非常に難しいからです。授業の時間数は少なく、扱うべき内容は膨大ですから。ゆえに、こうした「SSH」の課題研究や、後述する「東京グローバル10」のような取り組みに期待をかけているのです。 「これは面白い事象だ!」 「なぜ起こるのだろう?」 「もっと調べてみたい」 という子どもたちの好奇心に訴える仕組みが、現場にはもっと求められていると思います。
2年生になると、希望者の中から12名ほどを、論文と面接、1年生のときの取り組み状況などを見て選抜します。
この選抜12名は事前学習を経たうえで、夏休みに米国の西海岸やハワイ島へ海外研修に行きます。
もちろんバカンスではありません。日比谷高校の卒業生や関係者のネットワークを辿り、西海岸のシリコンバレーやスタンフォード大学、すばる望遠鏡があるハワイ島の国立天文台ハワイ観測所など、海外の最先端を見学するツアーを行います。
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