500円でランチをするなら、あなたはどうする?
ここに、一枚の500円玉がある。
あなたが、この500円を使ってランチを食べにいくとしたら、次のA、Bのうち、どちらを選択するだろうか?
A ファストフードのハンバーガーセットを店内の狭いテーブルで食べる
B 近くの公園まで散歩して、オーガニックのコーヒーと野菜サンドイッチを食べる
「いきなり、なんでそんな質問を?」と思うかもしれないが、せっかく数ある本の中から本書を手に取ってくれたのだから、何かの縁だと思って答えてほしい。
「……ファストフードはよく行くけど、オーガニックってなに?」
という方のために、ちょっとだけ補足しておこう。
オーガニックというのは、有機栽培のことで、農薬や化学肥料にたよらずに、有機肥料だけで栽培する農法のこと。
身体に悪影響を及ぼすかもしれない農薬や化学肥料を使っていないので、健康に気を使う人たちの間でブームになっているのだ。
一方、ファストフードのハンバーガーやポテトは、高カロリーで油分が多い。その中には、今、問題になっているトランス脂肪酸というものが含まれていることも確認されている。
このトランス脂肪酸は、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)を増加させ、心臓疾患になる確率を高める可能性があるそうだ。
ファストフードに恨みはないのだが、一般的に言われていることだから仕方がない。
さて、2つの違いがわかったところで、もう一度質問をさせてほしい。
あなたが、500円を使ってランチを食べにいくとしたら、次のA、Bのうち、どちらを選択するだろうか?
A ファストフードのハンバーガーセットを店内の狭いテーブルで食べる
B 近くの公園まで散歩して、オーガニックのコーヒーと野菜サンドイッチを食べる
さっきはAを選んでいたのに、Bに変更した人がいるのではないだろうか?
「そりゃ、身体に良いとか悪いとか言われたら、良いほうを選ぶに決まってるでしょ」
そう。Bを選んだ人は、自分の健康に気を使っている人である。同じお金を使うなら、できるだけ身体に良いモノを選びたいと考えているから、Bを選ぶのだ。
実はこういうお金の使い方ができる人には、「稼ぐ人」が多いのだ。
「お金の使い方と、稼げるか稼げないかなんて、関係ないだろ?」
そんな疑問を抱いている方も多いだろう。
それが大ありなのだ。
順を追って説明していこう。
まず最初に、お金の使い方には、「消費」「浪費」「投資」の3つがあることを知っておいてもらいたい。
「消費」というのは、人が生活していくうえで絶対に必要なお金。おもに「衣」「食」「住」に支払うお金のことを意味している。
例えば、スーパーで夕食の材料を購入したり、家賃を払ったり、電気、ガス、水道などの、ライフラインに関するお金を支払ったりするのがそれに当たる。
「浪費」については、みなさんお察しのとおり、酒やギャンブル、タバコなど、自分の快楽のために使うお金のことだ。これについては、特に深く説明する必要はないだろう。
「投資」は、何倍にもなって自分の元に戻ってくる可能性のあるお金の使い方だ。
株式投資など、資産運用のほかに、「自分への投資」という意味もある。
例えば、自分の将来のために学校に通って勉強をしたり、何かの資格を取ったりするためにお金を使うことは、「自分への投資」に当てはまる。
この「投資」というお金の使い方が、「稼ぐ人になること」と深い関係にあるのだ。
「稼ぐ人」は、「消費」や「浪費」を抑えて、その分を「投資」に回すことで、資産をどんどん増やしていく。
逆に言えば、何が「投資」に当たるのかを知っている人が、「稼ぐ人」だということになる。
ここでもうひとつ質問。
先ほどのA、Bのお金の使い方は、「消費」「浪費」「投資」で言うと、それぞれどれに当てはまるだろう?
「ん? AもBも『消費』じゃないの? だって、どちらも同じ『食』でしょ?」
残念! 正解は、Aが「消費」で、Bが「投資」だ。
先ほども言ったように、Bを選んだ人は、自分の健康管理に気を使っている人だ。
投資とは、何も株を買ったり難しい資産運用をすることだけではない。
今は元気だからといって、不摂生な生活を続けていると、いつ体調を壊して仕事や私生活に支障が出るかわからないのだ。
しかし、普段から食生活や運動不足解消に気をつけて生活していれば、そういったトラブルに見舞われる可能性は減り、長く健康でいることができる。もちろんメタボやビール腹になることなく、スマートな体型を維持することもできるのだ。
Bを選んだ人は、たかがランチひとつとっても「自分への投資」をしているのだ。
このように、お金を何かに使うたび、人は知らず知らずのうちに「稼ぐ人」と「そうでない人」の分かれ道に立たされている。
あなたは、気がつかないまま、「稼ぐ人」とは反対の道へ進んでしまってはいないだろうか?
日々のちょっとしたお金の使い方ひとつで、あなたが将来「稼ぐ人」の仲間入りができるのか、はたまた残念な結果になってしまうのか、大きく違ってくるのだ。
そこで本書は、あなたがより豊かな未来を手に入れるために、ぜひ身につけておいていただきたい「お金の使い方」について、わかりやすく解説した指南書だ。
「稼ぐ人」は何を考えているのか? 「稼ぐ人」はどんなふうにお金を使っているのか? それを、各章で詳しく解説していくつもりだ。
あなたがどんなに、今現在たいした額を稼いでいなくても、これからのお金の使い方次第で、いくらでも稼ぐ人になることができる。そして、「お金の使い方」を身につけたら、人間としても大きく成長ができるだろう。
先の見えない不安な時代だからこそ、若いうちに正しいお金の使い方を身につけて、理想の未来をつかみ取ろうじゃないか!
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