生徒数が増えるほど、授業の質を上げられる画期的なモデル
—— N高は、事業としてこれから拡大させていくんですか?
川上量生(以下、川上) 生徒数を増やすことは可能ですよね。今年度は願書が去年の2倍くらい来ていて、4月時点で全体の生徒数が3,800人くらいになりました。
—— 全員入れるんですか?
川上 ネットの高校なので、ネットで自学自習できる人は基本的に全員入学できます。
—— そうか。よく考えたら受験って、校舎の物理的な制限によって生まれてるんですね。学びたいという人は、全員希望の学校で学べるのが理想なのに。
川上 そうです。もちろん、入試で制限しない場合は学力レベルに差が出てくるので、生徒一人ひとりに合わせた指導が必要です。N高は教室でみんなが一斉に授業を受けるわけではなく、それぞれの学力に合わせて勉強を進められるので問題ありません。
—— 人数の制限がない、というのは画期的ですね。通信制のメリットをそう捉えたことはなかったです。
川上 生徒数が増えれば増えるほど、増えた収入で授業の質を向上させることができる。いいモデルなんですよ。すでに、大学受験向けや中学復習講座、プログラミングの授業などが受講できるN予備校には、最高の講師陣を集めています。特に大学受験向けの授業は、参考書を出版するようなトップクラスの講師ばかりです。だから、教え方もすごくうまいんですよね。
—— 普通の高校って、何人もの教師が全国で同じ話をしているわけですよね。しかも、その教え方にはレベルの差がある。でもネットの授業なら、教える能力が突出している先生が1人いれば、その先生が数万人に対して講義できる。こちらのほうが効率的だし、質も高くなりやすいんですね。
N高の生授業の配信風景。
川上 教育にネットを活用することで、改善できることはいろいろあると思いますよ。それでも、人の手が必要な部分はなくならないんですよね。生徒ひとりひとりを見てあげないといけないですから。卒業のためにはレポート提出が必要で、「今月はレポート出した?」といったフォローを個別でするのには、それなりの人数が必要です。だから、先生の採用も進めています。
ハイレベルな授業を惜しげもなく公開する理由
—— 学問を教える講師と、生徒を指導する先生で役割分担をするようになるんですね。N予備校の講義はアプリで受講できると聞きました。それは課外授業扱いということで、有料なんですか?
川上 いえ、無料です。通学系のコースは有料ですが、ネットで受けられる授業は全部無料にしました。あとN予備校の授業は、外部の人でも月額料金を払うと受講が可能です。
—— そうなんですか! でも、挙手して答えを見てもらう機能などは、外部の人は使えない?
川上 いえ、質問もできますよ。「なるほど!」ボタンも押せます。
画面下の「なるほどボタン」を押すと、画面上に「なるほど!」の文字が流れる。
—— それ、ちょっともったいないのでは……。そんなすごい講師の授業も、独自に開発した機能も全部公開してしまうなんて。
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