国税OBのある税理士は最近、税務署による担当企業への実地調査に立ち会った。若手の調査官が「社長の机の引き出しの中を見たい」と言うので許可したところ、程なく通帳が見つかった。しかし調査官はその通帳を一瞥しただけで、用件が済むとそそくさと帰ってしまった。
【 最終回】組織をむしばむ人材空洞化 調査能力低下がもたらす危機
2017年4月7日
「現場の調査能力はガタ落ちだ」。国税OBからは最近、よくこんな嘆き節が聞かれる。あらゆる納税者を貪欲に狙い撃ち、泣く子も黙る徴税集団たる姿は「今や昔」なのか──。
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国税は見ている税務署は知っている
われわれから税金を徴収する国税組織。国民なら誰もが知る行政機関だ。消費増税や配偶者控除見直しなど大増税時代の到来を前に彼らは今、その“最恐”ぶりをより誇示しているかのようだ。まず富裕層への課税包囲網を狭め、マイナンバー制度などを武器に...もっと読む