台本通りでも批判が殺到した紅白
おぐらりゅうじ(以下、おぐら) さて、恒例となっている紅白歌合戦の振り返りです。
速水健朗(以下、速水) うーん、今年はやらなくていいんじゃない? 正直おもしろくなかったし、ネットでもさほど話題になってない。数字は番組の後半が40パーセント台に復帰ということらしいけど。
おぐら 視聴率がよかったのは、それだけ期待が高かったからですよね。そのぶんハードルが上がってしまった。映画『シン・ゴジラ』のスピンオフ的なパートでは歌の力でゴジラを退治したり、タモリとマツコ・デラックスが「ふるさと審査員」としてNHKにやってくる小芝居をはさんだり、企画した側としては力作のはずだったのに、いかんせん評判が悪かった。
速水 タモリ、マツコというネットでは叩かれにくい2人が批判されていたのが印象的だけど、あれ俺はおもしろいと思ったよ。
おぐら 結局、最後までステージにも客席にもたどり着かなかったことに不満を抱いた人が多かった印象です。
速水 あれはさ、最後までたどり着かないからおもしろかったんだけどね。でも、総じてその手の不満が多かったみたい。ちなみに、NHKに寄せられた苦情で一番多かったのは、ハーフタイムショーでのピコ太郎の新曲が途中で切られた場面らしいよ。
おぐら 放送では時間切れで慌てている雰囲気を出してましたけど、あれはそういう演出だったと。
速水 どう見ても台本通り。でもそれが理解できない人が多かったってことみたい。
おぐら 紅白はすべてが台本に書かれていて、それこそ生放送なので、時間配分と段取りは驚くほど厳密なはずです。
速水 タモリのパートにしても、あれはSMAPの代替ではないんだけど、そう思った人が多かったみたいで、だから怒られてる部分もありそう。
おぐら ただ紅白は、お年寄りから子どもまで、国民の4割近くが見ているような超メジャーコンテンツなので、やるなら徹底的にわかりやすくしなきゃダメとも言えますよね。紅白に気の利いた演出を求めているのはごく一部で、それよりは、とにかく派手でわかりやすいショーのほうが相性はいいと思います。
速水 「マジかよ、NHK?!」ってツイートで批判した内田裕也なんか、ゴジラのネタで出した内閣官房の記者会見を本物と勘違いしてたからね。超高齢化社会って本当に大変なんだなって、改めて実感させられたよ。
おぐら すごい結論(笑)。内田裕也といえば、同じ大晦日に行われたニューイヤーロックフェスティバルも恒例になってます。
速水 ああいうのをおもしろいものとして受容する文化はさ、そろそろ本当にやめるべきだと思うんだよね。
おぐら いや、あれはもう、おもしろいというより「おじいちゃん、がんばれ! でも無理はしないでね!」っていう温かい目で見守ってる人のほうが多いような……。
オバマからチェンジしたトランプの「チェンジ!」
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