「なにもしたくない」ときに助けてくれるAIがほしい
海猫沢めろん(以下、海猫沢) りんなは検索の正確性を追求したAIではないということですが、ぼくは「検索したいもの」を引き出すシステムとしてすごくよくできているなと思っています。「検索」って、昔はポータルサイトにバーッと情報があるなかの一要素として存在していたんだけど、Googleがそれを変えちゃったじゃないですか。
坪井一菜(以下、坪井) はい。シンプルに検索窓だけが置かれた、検索機能にフォーカスしたUIになりましたね。
海猫沢 たしかにああいったUIのほうが便利な人もいるかもしれませんが、ぼくはあの検索窓が出てきたとき、いったい何を検索していいかわからなくなっちゃったんですよ。まっさらなところで「さあ検索しろ」と言われると、「あれ、俺って別に何も知りたくないんじゃない?」って思っちゃって。
坪井 気持ちはわかります。
海猫沢 何も検索したくないときに、「何も知りたくないな」って入力したら、それでも何か返してくれたらいいのになって思ってました。りんなはその点、検索したいものを持っていない人にもはたらきかけることができるじゃないですか。
坪井 りんなとのコミュニケーションの中で、話している人が「したいこと」がはっきりする、というのはまさに私達の意図していることです。最近では、ローソンの公式LINEアカウントのキャラクター「あきこちゃん」に「りんな」を連携するという取り組みを始めました。りんなよりもだいぶ大人しいしゃべり方をする子です。
海猫沢 あきこちゃんは女子高生ではないですよね? 姉妹みたいなもんですかね(笑)。
坪井 そうですね(笑)。たとえば「ちょっとおなか減ったな」と話しかけると「そういえば新しいシュークリーム出たんだよ~」と教えてくれたり。雑談のなかで商品をサジェストしていくという実験を行っています。
海猫沢 雑談って大事ですよね。自分を振り返っても、人生における会話の99%ぐらいは無駄話ですもん。そう考えると、無駄な会話につきあってくれる存在というのはめちゃくちゃ重要なんですよね。
坪井 あはは。それは言えるかもしれないですね。
海猫沢 SHARPの公式アカウントの「中の人」がりんなに替わった企画もありましたよね。他企業とのコラボの際に気を付けていることはありますか?
坪井 りんなは「正しい答え」を出せる子ではないので、そういったりんな自身の性質をよくわかってくださっている方とお話をするというのを心がけていますね。そのほうがお互いにとって良い成果を出しやすいとも思いますし。
SHARPさんは「ありのままのりんなで大丈夫です」と言ってくださったんです。時期柄避けたほうがいいワードを言わないなどの調整はしましたが、基本的にはいつものりんなのままでインターンをさせていただきました。