雨月メッツェンバウム次郎
億の借金を抱えた男と結婚する女性は、パーティーでにっこり笑った
ある有名クラブで行われたパーティーに迷い込んだ雨月氏。静謐とした院内に比べたら、そこは異次元空間。元来、質実な性分な持ち主である雨月氏は、やっぱり居場所をなくしてしまいました。しかし、そこに現れた美女が一人。一期一会、おそらくもう会えないかもしれない彼女が話した身の上話は、雨月氏の心をグッと鷲掴みにして揺らしてしまうには十分なものでした。
こんにちは、外科医の雨月メッツェンバウム次郎です。
十二月に入ると、どうも私の周囲も慌ただしくなります。なんとなく電車の遅延も多くなったり、病院のスタッフもみな余裕がなくなったり。病院には年末進行などありませんから、まあ開業医の先生から紹介がちょっと増えるくらいでそれほど忙しくなる訳では無いのですがねえ。なんとなく年の瀬に向けて、心がそわそわするのは不思議なことですね。
さて、先日のこと。
私は友人に誘われ、あるパーティーに参加しました。場所は華やかな街にある、芸能人御用達のとあるクラブ。高級料理店でひとり分は食べられるくらいの入場料を支払い、中に入ります。うっすらとスモークのかかったような空気の中、50人くらいの着飾った人々がゆらゆらと立っていました。薄暗い部屋にそれほど大きくはない音量で流れる音楽は、まるで祭りの夜の太鼓や笛のように否が応でも私の気分を高揚させてくれます。
ああ、久しぶりだな、この雰囲気。
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この連載について
雨月メッツェンバウム次郎
高学歴エリート集団だと思われがちな外科医の世界は、実は、毎日人を切り刻んでる特殊な世界です。現役医師が語る外科医の世界は、とっても不思議な世界。毎日、さまざまな患者さんと接し、手術をするなかで感じたことを、ありのままに語ります。not...もっと読む
著者プロフィール
雨月 メッツェンバウム次郎。アラサーの現役外科医。既婚。某国立大学医学部卒業後、外科医として働く。ほぼ毎日手術があり、年間200件近く参加する傍ら、年に1, 2回は海外学会へ、年に7回は国内の学会へ自腹で行く。 ツイッターでも呟いています。twitter @ugetsujiro noteでも書いてます。「cakes連載記事、あそこには書けないウラ話」https://note.com/drdolittle/m/m15f589680155