7月のこと。パリ・シャルルドゴール空港の検問には、ものすごい数の人が並んでいた。
その数、およそ「全校集会かよwwww」レベル。数える気も起こらないけど、600人とか700人とかいたと思う。7月だから、ヨーロッパではそろそろ、バカンスに入る人も出てくる時期なのだ。
そして、その600人とか700人とかのみんながもう超緊急みたいな顔をしていた。とてもオシャレだがトイレ行きたさを隠せなくなってるムッシュ。ちょうど親の膝の裏に頭を持たせかけて寝はじめるキッズ。膝カックン状態のママンは乗換のeチケットを手にイライラしている。私もまた、パリに住む義理の祖父(cakesにも出てくるルネおじいちゃん)との約束の時間が迫っていて焦っている。想像してみて欲しい。そんなわさわさした数百人を、いったい何人の入国審査官がさばいていたと思われるだろうか。
2人だ。
ふたりwwwwwうははwwwwwwふたりwwwwwwwwwと私は爆笑するほかない。12時間エコノミー席に詰め込まれた後のテンションで爆笑するほかない。腰が痛い。ほぼ永遠じゃねコレみたいな時間を待ったあとやっとパスポートにスタンプを押され、ふたりwwwwwwwwうははwwwwwなぜふたりwwwwwwとひとしきりウケたあと、私は悟った。このバカンス時期の大混雑をさばく入国審査官が、なぜ、ああ、いったいなぜ、たったの2人しかいないのか。
入国審査官たちもバカンス中だからである。
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