一般的に「体目当て」という表現は、「軽はずみ」「無責任」というような意味で、悪い言葉として使われている。世の多くの女性は、男性から「体目当て」にされるのを嫌がるし、体目当てかどうかを探るために体を許さない人もいる。
体目当てで全然いいじゃん、と思う。というか、体目当てがいい。
旦那さんとのデートは「体目当て」だった
私は先日結婚したけれど、彼と私が1度目のデートをした動機はお互いに「体目当て」だったし、2度目のデートも、3度目のデートもそうだ。私たちは「またあの体が欲しい」という意欲で、デートを重ねていた。あの体にありつくために「また会いたい」と思い、会うことを繰り返しているうちに、結婚したくなった。
結婚をしたくなったのは、体目当てで会っているうちに体目当てじゃない気持ちが育ったからではない。その人の体を自分専用にして、もっともっとその人の体を自分の人生に活かしたくなったからで、つまり、より深刻な体目当てになっていったからだ。
結婚こそが、究極の体目当てだよなぁと思う。だって、出会った頃の彼より今の彼の方が、断然、私の体を目当てにしている。出会った当初は、せいぜい「性行為をするための肉体」という見方のみでの体目当てだった。
しかし今の彼は、私の卵子も目当てにしている。母体としても当てにしているし「君は俺より長生きしてくれないと困る」とまで思っていて、だから私に健康体でいるための努力を望んでくる。お酒を飲まないでほしがるし、タバコも吸わないでほしがる。私の体を、すごく、当てにしている。
私だってそうだ。彼をセックスだけの目当てにしていた頃の体目当てとでは、比べ物にならないほど、彼の体を当てにして生きている。彼の種は私のものなのだから、種の取り扱いには気を付けてほしい。変な薬の飲み方など絶対にしないでほしいし、高熱も出さないように暮らしてほしい。大きな病気にならないように、ちゃんとした食事をしてほしいし、定期的に睡眠時間も確保しないとダメ。
あなたの体に起こることは、私の人生に影響するのだから、体は大事にして生きてくれないと困るし、ないがしろにしていたら叱る。誰の体だと思ってるの? 私のものなんだからね、あなたの体は、という気持ちでいる。
体目当てにされるのは嬉しいこと
そもそも、「性行為をするための肉体」としての体目当てに関して、それがちゃんと、具体的に自分指名の意欲ならば嬉しいことだと思う。
「何でもいいから穴が欲しい」なのか、「この子のことを抱いてみたい」なのかでは大きな差がある。前者は「体目当て」というより「射精目的」だ。体目当てですらない。体に興味を持たれているわけではないし、その人はただスッキリしたいだけだ。射精目的で利用されたときに「あの人は私の体目当て」などと言う女の人は、おこがましいと思う。先方は、とくにあなたの体を目当てとしていたわけではない。あなたの体は、とくに興味を持たれていない。そこに穴があったから入りたくなっただけだ。
体目当て、というのは、あくまで「この体が欲しい」だと思うし、それを好きな人から思われたとしたら「性行為の相手として不足なし。君の体は当てになるレベルに達しています」と合格点をつけてもらえたみたいで、私ならとても嬉しい。やったー、私の体は彼にとって当てにできるものなんだ!と思って安心する。
だって、当てにできない体では、男女は絶対にうまくいかない。目先の性行為の当てになれないと彼女にはなれないし、長期的な見通しで性行為の当てにされないと奥さんには選ばれない。そして、好きになった男の人から「君の体じゃ、当てにならないっていうか、色々と足りないんだよね」と言われたら成す術がない。
私だって、彼の体が、末永く当てになりそうだから結婚をしようと思えたわけで、当てにできないような体だったとしたら、こうはなっていない。彼が健康で、精力があって、種も元気そうで、働ける体力があって、私は彼がこの体だったから結婚を決めた、と思う。すごく体目当てだ。心だけ同じでも、病弱で、精力が無く、種なしで、働けないような体調の人だったら、私は彼のことを全然違う目で見ていたと思う。