「向いてない」ものにこそヒントがある
自分に向いていることをするのは、スポーツでもビジネスの世界でも定石ですが、一時的に自分に向いていないことを取り入れることで、限界の檻から抜け出すことがあります。
向いていないことの中から、新しいやり方が生まれることがあるからです。たとえば、僕は自分の会社の経営をしています。しかし、会社員の経験がほとんどないので、組織のマネジメントのしかたがわからない。そこで、マネジメントに詳しい人に教えてもらう体制をつくることを考えました。
同じように、プレゼンの資料をつくることも得意ではないので、資料づくりのうまい人につくってもらうしくみを考えています。もし自分が、会社経営や資料づくりに向いていれば、まわりの力を借りるという発想は出なかったと思います。
向いていない、できないと思うと、チャレンジしたい気持ちが湧かなくなります。
ですから、向いていないことをやるときは、言葉づかいを変えてみてください。
「向いていないのではなく、慣れていないだけ」
そう思うようにすると、心が軽くなり、やってみようと思えるようになります。
習慣とは、習って慣れることです。慣れるまで続けられれば、たいていのことはできるようになるはずです。
好きなものが見つからない理由
『「好き嫌い」と経営』(東洋経済新報社)の編著者で、一橋大学大学院の楠木建教授と対談をさせていただいたことがあります。楠木教授は、努力と成功の関連性について、こんなことをおっしゃっていました。