金魚よりも集中力の低い現代人
石川善樹(以下、石川) 今回は集中力をテーマにお話しようと思うのですが、集中に関するおもしろい調査結果があるんですよ。マイクロソフトのリサーチ ※ で、現代人が連続して集中できる時間は8秒だという結果が出たんです。
※Attention spans
—— 短い! でも、たしかに。自分で考えてみると、それくらいかもしれません(笑)。
石川 ちなみに、金魚は9秒だったそうです(笑)。餌を注視したりしている時間がそれくらいあるということですね。もう人間は、金魚以下なんですよ。現代社会は情報が増えすぎていて、すぐに注意がそれてしまう。平均的なビジネスパーソンは、1時間に30回メールチェックをしていると言われています。
—— 2分に1回。たしかにFacebookメッセンジャーやLINEをチラッと見ることも入れると、それくらいチェックしているかもしれません。金魚以下ですか。
石川 みんなスマホをずっと見て行動してるから、宇宙人が地球を観察しているとしたら、人とスマホのどっちが主人かわからないと思います(笑)。僕らは、情報を消費しているのではなく、情報に消費されているんです。人が情報を消費する時代は、とっくに終わってしまった。さて、こんな気を逸らす情報があふれる時代で、仕事に集中して成果を出すにはどうしたらいいのか。
左:西本真寛さん、右:石川善樹さん
—— それ、すごく知りたいですよ。
石川 科学の基本は「測定」なのですが、僕らはまず、「集中力」を測れる装置をつくろうと考えました。これ、以前テーマにしたダイエットでも同様のやりかたをしましたね。体重を落としたいと思った時、まず体重が測れないとどうしようもないですよね。集中力を上げたいなら、今の集中力がどのくらいなのかを知らなければいけない。計測できないとフィードバックできないんです。
—— たしかに。何かを上達するには、行動して、それを測定してフィードバックを受けて、修正して……と繰り返すことが必要ですよね。いわゆるPDCA(plan-do-check-act)サイクルをまわす。でも、仕事のやりかたに関して、そういう数値的なフィードバックを受けたことってあまりないですね。予算とかの結果にはありますが。
石川 日々の仕事は基本的に、Doばかりなんですよ。事前にあまり計画立てないし、チェックもしない。というわけで、ぼくらはまず、集中力を測る装置はないだろうか?と考えました。そこで目をつけたのが、メガネです。
—— メガネ?
石川 といっても、ただのメガネではありません。ジエィアイエヌ社が開発したウェラブルデバイス「JINS MEME」です。このJINS MEMEには特殊なセンサーがいくつもついていて、まばたきの回数や視線移動、体の傾きなどを測ることができるんです。
集中をあらわす3つのポイントとは
—— へえ、まばたきの回数や視線移動で、集中力が測れるんですか?