15年ぶりに、通っていた高校の横を通った。
思い出すのはとにかく嫌なことばっかりで、あの頃はわざとキライなことばかりをしようとしてたのではないかとさえ思う。
とくに恋愛では、まったく一瞬も好きではない相手と2年間付き合っていた。
「当時は彼のこと好きだと思っていたけど、今にして思えば全然好きじゃなかった!」という若気の至りではなく、当時からリアルタイムに「まったく顔も見たくない隣に並びたくない」と思っていた。
これは、まだメンヘラが覚醒してない頃の話だし、彼のことは全然好きじゃないから「会えないと死ぬ」なんてこともなかった。
あの2年間があったから今の私があると最近思ってきている。
「高校の横を15年ぶりに通った」という、大変ファジーなきっかけで、思わず閉じていた扉が開いた。
ひとりで見るのは恐いので、その2年がメンヘラ史に与えた影響を、いっしょに覗きにいってください。
顔も性格も発言も発想もまったく好きじゃないその相手と付き合っていた理由は、処女を喪失したかったからと、彼氏が欲しかったからだった。してみたら好きになる説が少女マンガにはたくさん事例としてあったため、期待していたけど、何度しても好きにはならなかった。
クラスのみんなが巻いていたFENDYのマフラーを真似して身につけ、友人が彼氏にティファニーをもらったという自慢を聞けば、自分も買ってもらおうとした。高校生の私の分別なんてそんなもんで、自分が何が好きかなんて全然わからなかった。だけど、キライなものはハッキリわかった。
わたしは彼氏がキライだった。大キライだった。
生理がこない!と騒いでいるような女子高生が廊下に割といたんだけど、私も本気で妊娠したと思っていた夏があった(実際はしていなかった)。高校生なんて素直だから、その好きじゃない彼氏に本気で「妊娠したかもしれない……」と相談した時、嘘でも「いっしょに病院にいこう」や「大丈夫。一緒にこれからどうするか考えよう」などと言って欲しかったけど、彼が一言目に言った言葉は「俺は完璧に避妊していたことにして」だった。
それまでもキライだったけど、そのとき「ああ、コイツ本当にキライだ」と思った。
付き合って2年経った頃、私が予備校で強烈な一目惚れをしたことにより、その不毛な交際はあっけなく幕を閉じたんだけど、その2年という交際関係から外にでてみて、私はそれまで自分がどれだけ苦しかったかに気付いた。(多分相手も同じだった)
その自業自得の2年間が苦行であったことをはっきり自覚したことをきっかけに、その時からわたしは「これからは好きな人と好きなことだけする」と強く決めたのだった。
夢見るメンヘラじゃいられない
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