長野県の松木景子さん(仮名・68歳)が「アルツマイナー」なるサプリメントを購入したのは半年前のことだった。最近どうにも物忘れがひどいと知人に相談をしたら、「いい薬がある」と薦められた。
記憶や学習力の低下を抑制できるというフェルラ酸や、ヨーロッパでは古くから物忘れや集中力低下などに悩む人に愛されているビンカマイナー抽出物などが主要成分だそうで60カプセルで定価9800円だった。
1日2カプセルが目安ということなので1カ月分である。年金暮らしの身にはかなり高い出費だが、松木さんは広告に掲載されていたある人物の写真を目にして購入を決めた。
「野口英世さんです。私たちの世代では小学校で必ず習う偉い先生ですからね。そこの医学研究所が薦めている商品なら大丈夫だろうと」
確かに、この商品の箱には「米国財団法人 野口医学研究所 特定品質推奨品」などという文言が並んでいる(写真)。由緒正しそうな機関が“お墨付き”を与えたのならば、「効きそうだ」と思うのは人情だろう。事実、松木さんも「効いていると思います。最近頭もはっきりしている」と語っている。
野口英世の遺族とは関係のない財団が認定したサプリ。しかしお年寄りからは絶大な信頼が得られそうだ