最近cakesの連載で、ちらほら「婚活」が話題になっていますよね。
私は「婚活」という言葉を聞くと、胸の奥がちょっとうずいてしまいます。
それは、最近bar bossaの林さんの記事にもあった「婚活疲れ」を経験したことがあるからです。あれは、本当に辛いんです。
私は6年前、30歳を目前にして突如焦って婚活を始めたのですが、婚活を一生懸命がんばりすぎて疲れ、精神的にもずいぶん追い込まれてしまいました。
その結果、「日本で相手が見つからなくても、世界でなら見つかるのでは?」と、日本を出て海外で婚活をすることに。
切羽詰まってそんなとんでもない行動を起こしたわけですが、幸運にも旅の途中に訪れたパリで、その後の私の人生を大きく変える大発見をすることができたのです。
セーヌ川のほとりで涙したあの日
その発見とは、パリという街では「十人十色」どころか、生きている人の数だけいろんな生き方がある、ということです。
たとえば、結婚をせずに好きな人とただ一緒にいるカップル。事実婚という選択をしたカップル。女性の方が男性よりずっと年上のカップル。同性愛カップル。
出産よりも自分のやりたいことを優先する女性や、年を重ねてもずっとずっと恋をしている女性、それぞれ父親の違う子供を育てるシングルマザーなどなど、本当にいろいろな生き方をしている女性がいます。
パリには「婚活」なんて言葉もなければ、「婚活をしている」という人に出会ったこともありません。
この時まで「なにがなんでも結婚しなきゃ」と思っていた私は、こんな風に女性としての生き方の正解がひとつではなく、いくつもあることを目の当たりにして、すーっと気持ちが楽になりました。
まるで、それまで私にかかっていた悪い魔法が解けて、身体全体の力みが抜けていくような感じです。
世界婚活最終地であったパリで、日本帰国を翌日に控えていた夕暮れ時。セーヌ川にひとり立ってパリの風景を目に焼き付けていたら、自然と涙があふれて止まらなくなりました。
「日本に帰りたくない。パリなら生き苦しさを感じず、自由に生きられるはず……。」
それから数ヶ月後、フランス語なんて全くしゃべれないまま、私はパリに移住していました。