こんにちは、外科医の雨月メッツェンバウム次郎です。
先日、こんなことが。
曇り空から落ちるあたたかな水滴に東京が包まれたある休日。私は前日の手術であちこちが傷んだ身体を運んで、郊外の病院へと行きました。
「医局」とプレートの掲げられた小部屋のドアを開けると、デスクに座っていた一人の女医さん。ピンクというには少し落ち着いた、唐紅(からくれない)色のニットに身を包み、長い髪の毛をひとくくりにしてアップにしています。
「ああ、先生久しぶり」「お久しぶりです」
そんな挨拶を交わし、私もデスクに着きます。
いつかどちらかでご一緒したこの女医さん、仕事はお互いいち早く片付けて幾つかの言葉を交わしました。その中で、
「先生は、ご結婚していらっしゃるのですよね。お相手はどんな方ですか?」以前聞いていたお話をうすぼんやりと思い出しながら、そう尋ねました。
「ええ、しています。研修医の頃の病院で同期だった人で、今は循環器をやっています」
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