【製造業】
年収減の電機を尻目に
節電対応で躍進する企業
2011年度の決算は、ソニーやパナソニック、シャープが3社で計1兆6000億円もの赤字を垂れ流した。露呈したのは、自社内で一貫した製造を手がける垂直統合モデルの崩壊であった。
今後は米アップルなど自社の製造部門を持たずに「頭脳」だけで勝負する企業が増えそうだ。いわゆるファブレス化である。
すると、本社の管理部門のスリム化が進み、従業員の削減には拍車がかかるだろう。実際、パナソニックもいよいよ本社の人員削減に手を付けそうである。
他方、海外への工場進出は加速することになりそうだ。大手だけではなく中堅メーカーも同様の傾向。そのため「海外工場長や海外支社長経験者のニーズが高まっている」(業界関係者)のだ。
「オリンパスや三洋電機の人材流出が顕著」(同)などと大手メーカーが軒並み停滞する中、浮かび上がった日立製作所の存在感は大きい。注力した社会インフラ事業が当たり、なんと過去最高益を2年連続で更新。黒字事業ながらもハードディスク駆動装置製造子会社を売却するなどその経営手腕に注目が集まる。好業績が続けば当然、年収も増えていきそうだ。
自動車関連産業はリーマンショックやタイの洪水被害などの影響で回復がもたついている。総じて状況は芳しくない。
そうした中、収入アップが見込めそうなのが表1‐7、1‐8、1‐9に示す企業である。リーマンショック前の4期前と比べ平均年収が7%増の739万円になった、ブレーキ製造の曙ブレーキ工業の姿がある。