安くなったのは、悪いことではない
日本は経済発展ばく進中のアジアの中心地にあり、その主要国である中国・韓国・シンガポールなどからとても近い。この「近さ」がどれほど有利なことか。欧米の大企業やビジネスパーソンは、距離的な問題でアジア経済になかなか食いこめないことを、悔しがっている。
日本は地政学的に、伸び盛りのアジアマネーを、うまくすれば総取りできるポジションにいる。〝円〞が安くなったことで、中国など強大なマネーパワーを持つ国と組みやすくなった。
思慮の浅い経済人や政治家の一部は、「夢よもう一度」とでもいうか、成長の目指すべきところを、1980年代後半のバブル時代を基準にしている。
ナンセンスだ。たしかにバブルは必ず、繰り返す。いつか必ず、日本にもバブルは来る。これは資本主義経済の歴史のうえでは自明のことだ。ただそれが10年後か100年後か、もっと先なのかはわからない。
バブルを追いかけても無意味だ。正確に言うなら、1980年代後半の降って湧いたようなバブル景気の再来を期待しても、意味がない。あの頃とは社会情勢もビジネスの潮流も、何もかも違いすぎる。
僕の考えとしては、実はいまこそ、バブルとは違う意味で、経済成長できるチャンスだと思う。
日本が買い叩かれている。結構なことだ。アジアマネーの呼びこみを成功させて、未来型のグローバルビジネスを構築していく絶好のタイミングだ。そういう時期だというのを、ほとんどの日本人は気づいていない。それどころか、現状から目を逸らそうとしている人も多い。
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